あれ、「おともださ」って「おともだち」の間違い?「ナリマ小」ってなんだか変では?
小学1年生になったばかりのハルオが通っているのは、山の中の学校。1年生から6年生までの15人全員が同じ教室で勉強しているという小さな学校です。ある日、いつも一緒に通学しているケンタとリョウくんが待ち合わせ場所にいません。3人の時には楽しかった道が急にこわくなって、ハルオは林の道をどんどん走り、迷子になってしまったかと胸がドキドキしはじめた時、学校がやっと見えてきました。
しかし、たどりついた学校は何だか様子が変。門のところでは校長先生にやたらに褒められるし、教室ではクラスメート達が目をきらきらさせて、ハルオを見て手をたたきます。やった覚えのない宿題についても、1番立派にやってきたとごほうびをもらいます。よく見ると友達の様子もどこか変…。隣の席のハナちゃんのポニーテールは頭のてっぺんでまっすぐつき立っているし、生徒会長のヤマモトさんはなぜか両方の耳に2本ずつえんぴつをはさんでいます。さらに前の席のケンタのズボンのあたりにあったのは…!?ようやくおかしな学校に来てしまったことに気づいたハルオは、あわてて教室を飛び出し、がむしゃらに道を走ります。すると向こうから同じように走ってくる誰かがやってきて、出会った相手は、なんと自分にそっくりの男の子だったのです。
作者のたかどのほうこさんは、日常の生活からふわっと自然に不思議な世界への入り口を作り出す名手。楽しい挿絵と手描き文字でお話のおかしさを一層盛りたてているのは、ホネホネさんシリーズでおなじみのにしむらあつこさん。はじめは目の前に現われた不思議な世界にハルオと一緒にドキドキしてしまいますが、どんどん楽しい展開が待っていて、自分にもこんなことが起こったらいいのにな、と思わずにはいられません。小学1 年生の後半から2、3年生に特におすすめのお話です。
(秋山朋恵 絵本ナビ編集部)
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