農夫のおじさんに引き取られた子ブタが、牧羊犬や羊たちと交流しながら、一流の牧羊ブタに成長する奇跡の物語。
映画「ベイブ」(1995年、USA)の原作となった児童文学。
作者は実際にイギリスで農業の経験があり、羊飼いや農場の様子が実に生き生きと描かれている。
動物や人間をじっくりと観察し、同じ地球に住む住人として、差別することなく、対等に尊重している純粋な気持ちが伝わって来る。物語を通して、命の尊さや、ベストを尽くす尊さ、日常生活で大事なこと、お互いに気持ちよく暮らしていくために必要な配慮・思いやり・礼儀などを教えられる。
子ブタを引き取ってから農夫のおじさん、主人公の子ブタ、一緒に暮らす動物たちが、モノすごい速さでいろんなことを経験し、気持ちや考え方が変わったり、人生が変わったりしていく。次は何が起きるかハラハラしたり、いがみ合っていた者同士の気持ちが通じ合うようになったことに感動したり、いろんな「大事な事」に気づいて心がいっぱいになったりしているうちに、あっという間に読み終わってしまった。
ずっと気になっていた映画なのに、見ていなかった。
映画より先に原作を読んでよかった。
作者がこの物語を読む人に伝えたかった「大事な事」が、日本語に翻訳されても、しっかり伝わったと感じた。
生き物に上下はなく、どの生き物も一生懸命に生きていると思う。
後書きに翻訳担当者が書いてあるように、いろんなことを考えされられ、心に残る素敵な話。純粋に感動できる。
動物をデフォルメせず、ありのままに描いた挿絵も素晴らしい。まるで本当に動物たちが話をしているようだ。