太くて真っ直ぐなものが貫いている絵本だと思いました。その太くて真っ直ぐなものとは何だろう?
納得できないことには屈しない牛飼いさんの意思。「牛飼いは牛にエサをやるのが仕事、俺は牛飼い」という、ただただそれだけの思い。この現実を多くの人に伝えたいという森絵都さんと、吉田尚令さんの思い・・・。
「希望の牧場」の「希望」とは何だろう?
「変だ」と思うことに屈しない牛飼いさんの姿勢。「生」を全うすることが大事という考えを貫く生き方。そして、牛飼いさんを支える人々の存在。そういう人々の思いが結実して、元気に動きまわる牛たちの存在。
書いていて気づきました。この絵本を貫いているのは「希望」だと。
絵も文も、素晴らしいです。最後の2ページ、するべきことを淡々としている人たちの姿が心に沁みてきました。
*朝日新聞「プロメテウスの罠」の2015年6月4日から7月8日は、「希望の牧場」のことがテーマでした。6月28日から30日は、森絵都さんと吉田尚令さんによるこの絵本作りの経緯が書かれています。