町中に立つ一本の大木を見て、時々思うことがあります。
この木は何を見てきたんだろうと。
この街が昔は何もない草原だったことを知っています。
この街が戦争を経験したことも知っています。
その中で立ち続けてきた木に、人々が願い事をしたって不思議ではありません。
「ねがいの木」は、そんな木に託した詩情ある物語だとおもいます。
木のそばに暮らし始めた若者に出会いがあって、家庭ができました。
家族ができました。
戦争があって、死があって、再会があって、歴史は刻まれていくのです。
願い事がかなったり、かなわなかったり、様々なドラマがありそうですが、生きているからこそ感じられる奇跡を味わいました。