スーダンという国で起きている内戦、ディンカ族という少数民族の事を知らなければ、サンゴールのこだわりは充分に理解できないのかも知れません。
でも、私はこの絵本から、スーダンに思いを馳せることが出来ました。
サンゴールは、難民の家族でした。
同じ名前の父親は、戦争で死んでしまいました。
サンゴールは何代も受け継がれてきた名前だったのです。
それだからこそ、誰に何を言われようとサンゴールはサンゴールなのです。
たまたまアメリカに迎えられて、サンゴールと母妹と「空飛ぶ船」に乗ります。
全てが未知の世界だから、飛行機でアメリカに渡るシーンに書かれた1行だけの文は重要です。
「動く階段」、「魔法で開くドア」、都会の日常が全て驚きでした。
それでもサンゴールはサンゴールのままの男の子でした。
自分の名前を覚えてもらうためのアイデアはグッドジョブでした。
工夫すれば伝わる道をサンゴールは見つけたのです。
しかも自分の名前を着て歩けます。
この絵本は、サンゴールのディンカ族としての誇りの物語です。
でも、同時にスーダンに残してきた難民のこと、スーダンで起こっていることを忘れないための物語でもあります。