京風の言葉での民話を読むのは初めてでした。
やんわり優しげな言い回しながら、内容は意外にもきつかったりしてクフッって笑いがもれちゃいます。
全国いたるところで耳にする「和尚と小僧話」の中から、“和尚お代わり”・“鮎は剃刀”・“小僧改名”の三話を見事に繋げて一冊の作品にしています。
こと食べ物に独占欲の強い和尚さんが、甘酒やら鮎焼きやらおもちやらを小僧さんに隠れて、時にはへんてこな理屈をこねて一人で食べようとするのですが、なかなか賢い小僧さんに様々な形でやりこめられるお話です。
はじめに出てくる“和尚お代わり”のラストの場面は、小僧さんも面食らってのその場しのぎのとっさの一言のように私は解釈し、両者の心中を思い何度も笑えました。
それにしても、御仏に何十年もお仕えしている和尚様でも、煩悩を断ち切れないこの世とは人間を惑わすことの多い所なんでしょうねぇ〜。
最近では「こぶとりたろう」の絵を担当されている杉浦先生の儚げな色使いと可愛いキャラクターが、このお話を“はんなり”とした空気にしてくれていると思います。