オトナにとっては、「よし、じゃ、いくかぁ」とでかけられる気安さ。でも、コドモにとっては、日曜日の一大イベント「デパートにおでかけ」。思い返せば、いまは無き上海の魔窟「九龍城」のような圧倒的な存在感、ウサン臭さをはらんでそびえ立っていたように思えます。
この絵本の舞台となったデパートも、アヤシイことではひけをとりません。たぶん関西(の人ゴメンナサイ)の猥雑なエネルギーを満々とたたえて、おスモウさんやニンジャやエンマ大王を売ってたり、催事場では「神様フェア」(売ってる!)をやってたりするんです。エレベーターの扉が開くごとに、ワンダーランドが繰り広げられていきます。
随所にちりばめたコネタの数々は『スモウマン』で確立された、作者・長谷川さんの得意とするところですが、「どう見ても40代にしかわからんだろ、このネタは!」というのもお構いなし、それでも画面からわきあがってくるおかしみは、4歳のコドモでも解るんです。キャラクター探しの楽しさも加え、まず読んであげるオトナが楽しい、そしてそれが聞き手のコドモに連鎖反応を引き起こすという、「家族向け・爆笑・親唱子随型」絵本です。