「兄弟が欲しい」
これは一人っ子が一度は言う言葉ではないでしょうか。
けれど、「弟が欲しい」という安易な気持ちでロボットをレンタルした健太が、だんだんと弟を可愛いと思えなくなる気持ちの大部分は、お母さんを取られた!と感じる寂しさからきていたのではないか。そう感じられる展開でした。
一人っ子が急にお兄ちゃんになるのは難しい。
全てを下の子と共有だったり、上の子だからと我慢させられたりというのに納得出来るのは、やはりお母さんから生まれて、赤ちゃんと一緒に過ごして親も子も成長する、日々の積み重ねがあるからこそなのかもしれないと思いました。
後半では、怒涛のように押し寄せる健太の後悔が、胸に迫ります。
そして最初からこうなるであろうことを予感していた弟ロボットのツトムの手紙が、自分にはどうすることも出来ない悲しさと、それでも健太のことが大好きだったという気持ちにあふれていました。
健太はその思いを胸に、一歩ずつ心の成長を遂げられるのではないか。
そう思わせるラストでした。