この絵本は「いいからいいから」が口癖のおじいさんとぼくとその両親が、毎巻次々登場する珍客と遭遇するシリーズの最初の巻です。
この巻ではかみなりのおやこが登場します。そのためか見返しには正方形の雷文様を組み合わせた形が載っています。
ぼくの家に突然やってきたかみなりのおやこを、おじいさんは気前よく「いいからいいから」と夕食・お風呂と勧めもてなします。ついには恐縮してかみなりのおやこは逃げるように帰っていきますが…。
懐が深く面白いおじいさん。理屈抜きでとても楽しいおはなしです。
こんなふうにみんながおじいさんのように寛大であれば、きっと争い事や戦争など起きないのかもしれません。今の様に閉塞感が漂い世知辛く生きにくい世の中だからこそ、よりみなさんに受け入れられやすい作品なのではないかと思います。
あと細かいことですが、脱衣所、廊下、1階の和室(居間?)と2階の部屋にはなぜか全て「アカフジ(赤富士)」の画がかけられています。作者が好きなのでしょうか。
さらに玄関の盆栽の上には、「カミナリだもの」と某詩人を思わせる色紙がかけられており、芸が細かいなと思うと同時に作者が楽しんで描いているように感じられました。
愉快なおはなしなので、お子さんと一緒に楽しんでご覧になれると思います。