かがくい ひろしさんと言えば、「だるまさん」三部作シリーズがつとに有名です。
三部作で50万部突破しているとのこと。
加岳井 広という苗字ですが、とても珍しい。
調べたら、かがくいさんは、2009年9月28日に54歳という若さで急逝されていたのですね。
僅か2005年〜2009年という創作活動ですから、本当に短い間に名作を残されていたのだと思います。
この作品は、2007年のもの。
主人公は、おむすびさん。
文字通り、おむすびなのですが、それが田植えをする発想が◎。
いつもながらに、かがくいさんの目の付け所に脱帽です。
そして田植えを手伝ってくれるのは、村のみんな。
それも、具のしゃけ、たらこ、おかか、うめぼし、こんぶを始め、おいなりさん、ほそまきさん、ふとまきさんなんて面々ですから、ワクワク感は募るばかり。
田植えのシーンが丁寧に描かれているので、子供との会話が弾むこと間違いありません。
それにしても、こうした文化を上手く挿入するのが、かがくいさんは得意ですね。
田植えとは、古来、神事であり祭りであり、集落で手伝い合う「結い」と言う共同作業であったのですが、それをさり気なく描写するなんて、凄いと言うしかありません。
その後、たこどんといかどんも田植えの手伝いに来るのですが、8本足のたこ、10本足のいかの、田植えの巧みなこと。
充分、笑わされてしまいました。
田植えを終えた後の日焼けした姿にも、大笑い。
しかも笑いの中に、ほっとさせる優しさもあって、オススメの作品です。
かがくいさんの作品は、どれをとっても、外れがないので全部読破したくなりました。