主人公は、自由に体を動かせず、言葉を話すことができない11歳の女の子、メロディ。でも、メロディの頭の中は言葉でいっぱい。記憶のすべてに言葉が伴い、言葉は意味を持っている。でも、みんなはそのことを知らない。メロディは伝える術を持たない・・。
そんな中、コミュニケーションを助ける機械を得たことから、メロディの世界は大きく変わっていきます。
「相手の身になって・・」とはよく言われることですが、置かれている状況が違う人の気持ちを推し量るのはなかなか難しいです。でも、主人公のメロディの気持ちに寄り添いながら読むと、彼女の苛立ち、悔しさ、人間関係の難しさを、自分のこととして受け止めることができます。本を読むといろんな人生を経験できます。
「メロディは、実は賢い子どもだった」という話に終わらせずに、周りの人間や社会の現実、未熟さ、人間関係の複雑さが描かれています。読んで終わりではなく、読んだ人には、「共に生きる社会とは?」という課題が与えられているように思いました。