小学校6年生のとき、盲腸で入院した際、
どなたかが、お見舞いに宮沢賢治の伝記を差し入れてくれ、
この「アメニモマケズ」の存在を知りました。
その時、思ったのは、
宮澤賢治という人は、
人々のために生きた立派な人なんだなということは理解できたけど、
質素倹約、質実剛健な生き方が大事なのもよくわかるけど、
この詩は、なんて苦しい詩なんだろうということ。
なぜここまで自分を追い込んだり律したりしながら生きていかなければいけないのだろうか。
人生って、そういうものなのだろうか。
毎日が楽しく、希望や夢がいっぱいの6年生には、まったく理解できませんでした。
あれから30年、久しぶりに読み直してみました。
人生酸いも甘いも経験した身には、
宮澤賢治の祈りが伝わってきました。
世の中の人が皆こういう気持ちで生きていたら、
争いも起こらないし、
世界中の人々が幸せに暮らせるのではないでしょうか。
一人一人がこんな精神で生きられたら、
本当に幸せだと思う。
こんな生き方は、決してつらくも苦しくもありません。
抗うことなく自然とともに生きる。
最も幸せな生き方のようにも思えます。
今までのイメージとは全く違う、明るい挿絵。
柚木沙弥郎さんが「アメニモマケズ」から受けたであろうイメージが、
私にもしっくりきました。
素敵な挿絵です。