有名な宮沢賢治の『雨ニモマケズ』が、美しい色彩の絵本になりました。
この詩は、作品として発表されたものではなく、手帳に書かれた賢治の「祈り」だと、この絵本を通して知りました。
その自己犠牲や献身的な人間愛を感じる賢治の多くの作品と同じように、この『雨ニモマケズ』もまた、見返りを一切求めない賢治の心からの祈りと、それを何とか実践しようとする思いを感じることが出来ました。
そして柚木沙弥郎さんの素晴らしい挿絵も、この詩にピッタリでした。
何とも言えない美しく明るい色の水彩、勢いのある筆致、賢治の心を表しているかのような抽象的な絵と、抽象的になりすぎない絵のバランスが絶妙に感じました。
賢治の祈りを、生命の輝きを、そこに見るようでした。
柚木さんのインタビュー記事も読ませて頂き、この作品の挿絵を描かれたことは、まさに必然であったように感じました。
現代人が忘れてしまった大切な何かを、思い出させてくれる作品です。