この本は「ワンダー」(2015年出版)の続編です。
ですが、「ワンダー」で主人公だったオギーのその後が語られる物語ではなく、「ワンダー」でオギーが初めての学校生活に奮闘していたころの別の子どもたちの物語です。
一人目はオギーを敵視し、ひどいいじめを繰り返してきたジュリアン。
もう一人はオギーの生まれたころからの親友のクリストファー。
最後はクラスメイトで優等生のシャーロット。
1つの物語にはたいてい語られるべき中心となる人物が存在しますが、その主人公の周りにいる人たちにもそれぞれの物語が存在するのだと、改めて感じました。
たぶん前作「ワンダー」で一番嫌われていたジュリアン。典型的な「いじめっ子」でしたよね。彼がなぜ、オギーに対してあんな態度をとっていたのかがこの続編でよく分かります。
(こわかったのか〜。そっか、こわかったんだね〜)
ジュリアンのお母さんがもう少し、違う目線で息子を守ってあげていたら、彼の行動も変わっていたかもしれません。
ジュリアンの物語にはフランスにいる父方のおばあちゃん(=サラ)が登場しますが、彼女はこの物語に欠かせない存在です。
ジュリアンはおばあちゃんと話しているうちに、おばあちゃんが戦争経験者で、ナチスドイツが進行してきたとき(ユダヤ人である)彼女のことを守ってくれたトゥルトー(“かに”というあだ名の男の子)がいたことを聞きます。
さぁ、ここまで読んだら、自分で「もうひとつのワンダー」を読みたくなりましたね?
中高生向けに描かれている作品ですが、大人が読んでもいろいろ気づかされます。
むしろ私は思春期のお子さんたちと一緒にその親御さんたちにも読んでもらいたいです。
長くなりすぎるといけないので、「ジュリアン」についてしか書けませんでしたが、「クリストファー」も「シャーロット」も読みごたえ十分です。
「おまえもあやまちから学ぶんだよ。……一度のあやまちで自分を決めつけるんじゃない。…」