レオ・レオニ作品に初めて出会ったのは約20年前の小学校1年生の時でした。担任の先生が『スイミー』を読み聞かせてくれたのがきっかけでレオ・レオニの世界が大好きになり、図書室にあったこの作者の絵本を片っ端から借りて読みました。
『フレデリック』については、実はあまり物語の内容は覚えていなく、ただ、あのフレデリックののんびりした表情はずっと私の心の中にありました。
大人になって久しぶりに読んでみると、「フレデリックってただサボりなのか…?」と思ってしまう部分があるのですが、子どもの頃はそんなふうに感じていなかったと思います。当時物語に納得していなければこれまでずっと好きな絵本として記憶されていなかったはずだと思うのです。
他の人と異なった考えを持っていてもいい、自分には自分の役割があるという世界観をすんなり受け入れていたのでしょう。そして、フレデリックの個性と表情が結びついて「なんか好きだなぁ」と幼いながらに心に刻まれたのだと思います。
子どもから大人へと成長するにつれて、周囲と違うことがだんだん変に見られるようになります。そうして、周りと合わせるために自分を押し殺すようになるものです。
大人になって再びフレデリックに出会いその個性にふれ、最初は「あれ?」と思いましたが、最終的にはなんだか自分を肯定してもらえたような気持ちになり癒されました。