小さなお化けシリーズ39作目。
飴屋の階段に住む女子おばけのソッチは、自分はかわいくて歌が上手いと信じ切っている。オーディションを受けてミュージカルに出演しようと思い、張り切って出かけるが、落選。しかし可愛い服があれば女優に慣れると思って、洋服屋さんに入るが…
女子の健気な気持ちが生き生きと描かれた素敵なお話。
自分の可愛さや能力を信じ切って疑わないというのは、傍から見ているとちょっと滑稽でもあり、健気でもある。小さい子どもがアイルドルになり切っていろいろ遊んでいる様子は微笑ましいけど、いい年こいた大人が同じような状況だと痛々しい。自分の子ども時代も同じようなことをやっていました、この顔で!
周りの人たちが気を使って、気を使って、傷つけないように、ソッチを扱っている様子が本当に現実的。この絵本を読んで、ソッチはなんで自分の事を冷静に見られないのだろうと思っている自分が、案外、あちこちで「この人はわかっていないな」と他人に気を遣わせていたのではないかと、反省して、赤面中。
嗚呼、乙女心は難しい。
最後はハッピーエンドで終わるが、そこに辿り着くまでが、はらはらしてしまい、意外と読み応えがある作品だ。
自惚れもほどほどにしないとと思うか、自画自賛でも自分が大好きなら夢がかなうと思うかは、読者次第だ。
自画自賛で生きた方が、案外本人は幸せかもしれない。周りは大迷惑?かもしれないが、人生、やりたいことは全部やって、悔いのないようにしたいと思った作品でした。