実は私も主人公の丈と同様に、瞬時に左右の区別がつきにくい。一呼吸おいて、両手を見て「ああ、こっちが右」と確認する。
そのことが、児童文学のタイトルになったことにまず驚いた。実里が丈の右手にミミズクを描くという解決法には、そんな方法があったのねと感心した。
物事を冷静に見据えて、的確に判断していく実里にも大きな悩みがあり、丈のおじいちゃんがいてくれたことにほっとした。
何か悩んだ時に、人に相談してほしいという持田先生の言葉は心に素直に響く言葉だ。
自分ができることで人の役に立つことはやればいいのだし、工夫してもできないことは人の助けを借りてもいい。そんな風に考られたら、きっと気持ちが楽になる子どもたちもいるのではないだろうか。
一生懸命頑張りすぎている子どもがいたら、そっと手渡したい一冊である。もちろん、大人にも。