3年ほど前から急速に外国人児童が増えはじめ、今や1クラスほどは外国人がいるいう状況の小学校を知っている。
その小学校では、主にブラジルからの転入生だが、日本語がわからずに1日の半分を学校で過ごす児童は、この本に出てくるアブダラくんのような気持ちなのだろうと思う。
月または週に何回か母語を話せるコーディネーターがやっていきたとしても、自分が今いる環境下で暮らしていくしかない。最初の1週間ぐらいは、興味津々で外国人児童の周りに集まってくる日本人の子どもたちも、そのうちに興味を失い、日本語がわからないからという理由で周りから去っていってしまう。
多文化共生と言われるようになって久しいが、いざ震災が起きたり現在のようなコロナ禍で取り残されるのも、外国人。
読みながらいろいろなことを考えさせられた。児童書だが、大人にも読んでほしい内容である。
子どもだけに解決を任せておいていい問題ではないと思う。まずは、異文化への理解から始めたい。
今、日本は日本人にとっても住みやすい優しい社会とは言いづらい。移住してきた人たちにとっても優しい社会であること、それを考えるのが大人の仕事なのだと思う。