不思議の黒い九つ岩中洲のはなし。
一人の子どもと竜神との交信が描かれてゆく。
地球温暖化を騒ぐ世の中。しかし日照り雨乞い、大雨河川氾濫が竜神さま雷様のお怒りだと、大昔の噂で聞かぬ人はいなかっただろうに。そう、悪さの規準知らぬ人間の愚かさを誰もが知っている。ただその責任を、忘れたフリをするのだから、困ったものだ私達は。そんな無責任を、主人公ニューワの正直な口が先走ったか、竜神さまの三番目の姫に生真面目さを好かれて強制婿入り。するとどうだ、人里が、平穏無事を取り戻す。もはやこうでもしなければ、人の未来はおとずれないのだろうか。
九頭の黒い水牛が、目の先導役になって色彩を際立たせてくれる。はなしはSFチックで、浦島劇場のようで、細かい心情が先に現れてページを早く繰れと急かす。
作家小野かおる画伯に感謝。福音館書店に感謝。
いつも心に栄養を、ありがとう。