てんかんの少年の介助犬になった犬のアラスカを奪還したいパーケル。
てんかんを容認できず、かわいそうな少年と見られることに抗うスフェン。
二人の気持ちが交互に描かれる。読み始めた時には、あまりにひねくれたスフェンの気持ちにには寄り添えず、パーケルに同情の気持ちが起こった。
てんかんという病気の理解ということもだが、読み進めていくと犯罪目撃者の心の傷や、SNSの問題など思いがけない難しい問題も盛り込まれていた。
突然に困難が降りかかり身動きが取れなくなるというこの感じ、どこかで読んだことがあると思い、作者を確認したら『100時間の夜』のアンナ・ウォルツだった。
難解さはあるが、読み終えた後、登場人物たちと一緒に問題と取り組んできたという満足感がある作品。
課題図書に選ばれたこともあり、じっくり読み込んで向き合いたい一冊である。