雨が降ってきた夕方、女の子が駅まで
父親に傘を届けるお使いです。
文章はありません。
しかしページから雨音が聞こえます。
女の子のボソボソ歩く長靴の音、
道路の水たまりを走りぬける車の音、
跨道橋に響く列車の走音、
交差点の信号の音、人々の雑踏の音…。
女の子の赤い傘が、色のない町中を動いていくと、
その周りに想像と見守りが生まれます。
ページ毎に現れる都会の風景には、
あわくはかない憧れを抱きます。
傘を無事届けた安堵感、
赤い傘は誇らしく見えました。
静かで、心温まる絵本です。
太田大八画伯に、感謝。