のらねこが人間と信頼関係を築いていく様子を平易な、でも丁寧な文章で描いている。一緒に読んでいた子供は、優しくしようとする人間になかなか心を開かずひっかいてくる猫に、「なんでそんなことをするんだろう」と納得いかない。たぶん、年齢の低い子供や動物を飼ったことのない人ほどそう思うだろう。この作品には「相手を想う想像力」がぎっしり詰まっている。それがあって初めて、一方通行ではない、心のやり取りが始まるということを、この主人公は知っている。ねこには、ねこの想いがある。いつか、私の子供もそれを実感として知ってくれたらいいなと思う。