真っ白な雪景色の中に映える赤い手袋。りすやきつねのしっぽも、ふわっふわに描かれていて、ほんわか優しい気持ちになります。
私は雪の多い地方出身ですが、今は雪の降らないところに引っ越してしまったので、なんだか懐かしい気持ちになりました。私が子供の頃は、母が手袋の右と左を毛糸でつなげて、なくさないようにしてくれていました。手袋が片方だけストーブの前に干されている場面を見て、そのことを思い出しました。
この絵本では、離ればなれになった左右の手袋、また一緒になれてよかったね…という結末にはなりません。お互いを気にかけながらも、それぞれが自分の道で自分の役割を全うし、幸せを感じています。それは、私たち大人の生き方にも通じる部分があるような気がしています。
絶対に離れないように毛糸でつながれてしまった手袋からは、こんな素敵な物語は生まれないでしょう。また歳を重ねてからも読み返したい一冊です。