この絵本で1つ気に入らないところがあります。
「半分くん」というニックネームは、いじめに使われそうな表現に思えるからです。
人の半分しか能力がないだなんて、そんなレッテルを貼られたら、跳ね返せない重圧が感じられます。
それはさておいて、この「はんぶんくん」は、大きなトラに襲われた時、開き直りか豹変しました。
ヒョウになったシカは、トラより強いのです。
豹変した「はんぶんくん」の武器は勇気と知恵でした。
それは、力がなくても、速くなくても、姿では見劣りするシカを、気高く大きく見せてくれました。
スーパー・エリートではなくても、英雄になることができるのだと教えられたように思いました。
そんな意味あいから、訳者はあえて「はんぶんくん」と読んだのでしょうか。
イジメを受けている子へのエールかも知れません。