「まめまめしい」という言葉があります。
児童文学者で今年(2022年)の1月に亡くなった松岡享子さんが原案を書いたこの絵本の中にも、えんどうまめばあさんとそらまめじいさんの二人が働きもので「まいにちあさからばんまで、くるくるとまめまめしくはたらいていましいた」と文章に使われています。
たぶん、その「まめまめしく」から、主人公の働きものの夫婦が「豆」の名前で呼ばれているのだと思います。
ただ、「まめまめしい」という言葉を漢字で書くと、「豆豆しい」とは出てきません。
「広辞苑」によると、「忠実忠実しい」と書くようです。
そして、その意味は「非常に誠実である」や「よく勤め働くさま」と出てきます。
この絵本のおじいさんとおばあさんは、とても働きものですから、やっぱり「まめまめしい」二人なのです。
ところが、この二人には一つだけ困ったことがありました。
それは、何かをしていても他にやりたいことが見つかると、ついそちらの方に手をつけてしまうことでした。
豆のツルが伸びてきたので支柱を立てないとと思いついて、畑に行くと草だらけ。
なので、まず草とりをして、その次はその草をうさぎにあげようとうさぎ小屋に向かいます。
あれれ、豆の支柱はどうしたのかな。
こんな風に二人の生活はどんどん広がっていきます。
豆の支柱を立てることを思い出したのは、夜中になってから。
これでは「まめまめしく」にもなります。
この絵本のはじめに、松岡享子さんのこんな言葉が載っています。
―「暮らす」ということが大事。いそがしく、たのしくね。
松岡さんもきっとそんな風に暮らしていたのでしょうね。