子どもだった頃
いや、学生鞄を持っていた頃もまだ
「かさやさん」があって
傘やカバンがこわれると、修理してもらいに行ったものです。
今よりも何倍も大事な1本、大事なひとつだった気がします。
安房さんのお話は大好きで
けれど朝の読み聞かせには
読むにも、しっとり味わうにも時間が足りないようで躊躇っていました。
それでもその日は高学年。
紫陽花の季節に誘われて
『きつねの窓』以来、何年かぶりに『青い花』に挑戦!
女の子を誘ってデパートに生地を買いに行く場面で
男の子がポツリと「不審者!?」…!!!
あーなんと、そういう時代か…
安房さんが生きてらしたら
どんなにか驚かれたことでしょう。
立心偏に亡くすの忙しいって
心をなくすと書くと言われますが
本当だなぁと思います。
憧れだった真っ白いレースのカーテンも
それを揺らす風を感じたり
それを通したらすっかりやわらかくなる陽ざしに目を細めたりする余裕がなければ
ただの白いカーテンで
かかえることも、つま弾くことも、うっとりながめることさえしなければ
ギターもただのギターです。
機械的に作られる青いかさたちが
海の色にも空の色にも似ていない
ただの青いかさなのと同じように。
最初の青いかさをていねいになおした時
かさやの若者に
なくした心が戻ってきたのでしょう。
そして
雨にぬれるあじさいの花を
小さい青いやねの家に
そっといれてあげたんじゃないかな。