本宮ひろ志さんの『サラリーマン金太郎』ではなくて、ほら、五月人形とかで「金」の文字のはいった腹掛けをした、ぷくぷくした元気そうな男の子がいるでしょう、彼のこと。童謡にもあります。「まさかりかついだ 金太郎 クマにまたがり お馬のけいこ」、その金太郎。
でも、『金太郎』ってどんな物語だったのか思い出せない。クマと相撲をして投げ飛ばしている金太郎の絵はすぐに頭に浮かんだのだが。
そこで、手にしたのが、新・講談社の絵本シリーズの一冊、『金太郎』。
なにしろこのシリーズは昭和初期に出版された絵本を新編集にて復刊したというもので、この『金太郎』の巻は米内穂豊(よないすいほう)という歴史画を描いていた人の手によるもの。これが現代の絵本にはない風格があって、金太郎がとても強そうなのです。しかも滋味豊富なミルクキャラメルを舐めているような、甘い舌触りがなんともいえない。
思わず、金太郎に声援をおくりたくなります。
さて、その金太郎ですが、すもうでクマに勝っただけではなく、強さと優しさを武士に認められて京にのぼる途中で鬼退治までしてしまうのです。やっぱり金太郎は強かったのです。
最後はおさむらいになって故郷の山に帰ってくるのですが、りっぱな着物を着ていてもまさかりだけは担いでいる、おちゃめな金太郎でもありました。