大事な人がいなくなること。誰もが通る道ですが、好きな人であればあるほど辛く悲しい体験です。
大好きなおばあちゃんを亡くし、きつねの子の信じたくない気持ち、楽しかった思い出が次から次へとあふれてきて、どう表現したらいいか分からない気持ちが痛いほど伝わって来て、せつなくなりました。
私も母が亡くなった時は信じられない気持ちで一杯でした。
今まで居て当たり前の存在が急に無くなり、心にぽっかり穴が開いたようで、その現実を受け容れるまでかなりの時間がかかりました。
ゆっくりと静かで変わらない時間が過ぎていくなかで、雷に打たれた樫の木の傷が癒えるように、きつねの子のうつむいていた顔がだんだん前を向き、「だいすきだよ。さようなら」と言えて本当に良かった。
おばあちゃんはたくさんの思い出の中にずっと生き続けているからね。
岡田千晶さんの丁寧で優しい色鉛筆の挿絵が心に沁みて、温かい気持ちになりました。