引きこもりを考える絵本です。
なんとも思わせぶりな絵本です。
箱の中にいたのは誰だったでしょう。
途中では目玉だけが見えています。
最後に、箱から羽ばたく音がして、中にいた友だちが飛びたち、みんなといっしょになりました。
でも、この絵本はタネ明かしの謎解き絵本ではないのですね。
箱に閉じこもってしまった友だちを、受け容れるのも守るのも、やっぱり周りの友だちだと言いたいのです。
動物たちが箱を開けようとしたら、中から悲鳴のような拒絶の叫び声が発せられました。
引きこもるということは、そういうことなのでしょう。
箱から出てくるのは、中にいるものの自らの意思でなくてはいけません。
動物たちは、箱のためにいろんな努力をしました。
中にいたものが表に出られたのは、動物たちの思いやりと、忍耐と、中にいたものが感じ得た安心感です。
身の回りに、このように箱に入ってでてこられない人たちがいることを知っています。
どうしたら良いのか、家族にはじまり周りの人間が頭を抱えていることを知っています。
解決するためには、時間と忍耐と、本人の意思が一つになることが不可欠なのでしょう。
中にいたものが安心して暮らせる環境をどうしたら作れるのでしょうか。
安易な答えは示されていませんが、理解はできました。