「たかちゃんとぼく」で気になっていた写真家の細江英公さんの素晴らしい写真集を見つけました。
でも、主役は被写体の古田幸さんと、彼女の詩。
突然に母親をうしなった小学6年生の幸さん。彼女の書きつづった詩。それからの生活に密着して、学校の先生だった父親と中学生の兄と3人の生活、女手として頑張り続ける幸さん、家族風景を重ねていきます。
素朴な詩が、母親を亡くした等身大の12歳を表現していて心打たれます。
細江さんも、幸さんをまるごと包み込むようなカメラアイ。
この本そのものが幸さんであるかのようです。
ただ、不思議なことにこの本、英語版で出版されながら、国内では40年過ぎての出版だとか。
その間に幸さんのお父さんは亡くなったけど、幸さん自身は結婚して二人の子どもの母親となり幸せに暮らしているとのこと。
幸さん自身、小学生当時の自分を振り返って、懐かしさと悲しさと、心を閉ざしていた自分にびっくりしたとのこと。結婚し母となって見直してみると、父への感謝でいっぱいだとあとがきにありました。
考えると、幸さんは自分と同じ年かも知れない。
幸さんの詩の下に、父親茂美さんのコメントがそっと添えられているのも、母を失った家族を思う上でとても貴重なことだと思います。
12歳の子ども、親、そして小学校を卒業して40数年経った親には特にお薦めの本です。