「か」という文字だけで表現された絵本です。蚊は、「か」の文字がつく動物たちを狙ってチクリ!刺された動物たちの表情がまた、たまらなく面白く描かれています。
蚊が狙いを定めて「か」と叫ぶ時の「か」の文字の大きさに、蚊の意気込みが現れています。
カエルなどの小さい動物には、小さく「か」。カバなどの大きな動物には大きく「か」。
このあたりにも五味さんのセンスがうかがえます。
カエルは、頭のてっぺんを刺されてしまいますが、何が起こったか理解できないといった顔をして「きょとん」としています。カンガルーの親子は、背中顔を刺され、これがまたとっても痒そう。
短い手を伸ばして、一生懸命掻こうとしている様子が、またまたこっけいです。
カマキリに威嚇され、逃げたところに厚い甲羅を持ったカメが・・・。無謀にもカメの甲羅に刺してしまった蚊は、このときばかりは「ガ」とうめき声をあげています。
最後には、傘にとまって休憩する蚊ですが、蚊の鋭い口がぐにゃぐにゃに曲がってしまったというオチ付きです。
「か」という1つの文字だけで、蚊の冒険をそして、蚊の心持ちをあらわしてしまうなんて、すごいの一言。「か」だけで絵本を読み進んでいくの面白いですが、小さい子どもには、「カバさんに蚊が刺しちゃったよ・かかかかか」なんて補足して読み進めても面白いかもしれませんね。