私くらいの年代の方で、藤城さんの影絵を知らない人はいないのではないでしょうか?
お名前を知らなくても、絵を見れば「あぁ、あの絵の!」と思われると思います。
実はこの作品は藤城さんの絵本(影絵)作家としてのデビュー作であったものを近年リニューアルし、カラー化させたものだと、後書きを読んで知りました。
1ページ1ページが本当に美しい影絵で、改めて藤城さんの影絵の世界を堪能しました。
特に素晴らしいと感じたのは、毛皮商の娘さんと凛々しい婚約者のアップのシーンの、お嬢さんが着ていたドレスの描き方!
レースの細かい部分など影絵ならではの手法が素敵でした!
うちの子は「(ぶどう酒びんが)ろうそく台になったシーンが素敵」と、いっていました。
アンデルセンのお話はいくつか読んでいましたが、この話は知らなかったので、ストーリー自体もとても新鮮でした。
物語の前半に登場した毛皮商人の娘さんの晩年があの人になるなんて、いったい「ぶどう酒びん」が知らなかった間、彼女にどんなことが起きたのでしょうか?
絵が素晴らしいので、魅入って読んでしまいましたが、結構長いお話です。読み聞かせなどに使うよりは、一人読みしてじっくり読みたい作品です。