【あらすじ】
山奥に住んでいる一家の下に、馬に乗った女の人がやってくる。彼女は「空気のように無料で」本を貸し出してくれるブックウーマンと呼ばれる人だった。悪天候の日も休まず本を届けてくれる姿に、最初は本なんか好きではなかった少年も、次第に心を開いていき…
アメリカで実際にあった話をもとにした、図書を届ける仕事をした人の話。
【感想】
後書きに、このお話の元となった社会背景などが説明されています。
1930年代、アメリカの大統領、フランクリン・ルーズベルトが提案した「雇用促進事業計画」として、遠隔地・僻地に住む人たちに本を届ける移動図書館のようなサービスが開始されたとありました。高地などでは、険しい道を、馬やラバにのり、2週間ごとに家々を訪ねたといいます。担当したのは女性たちで、報酬は僅かでしたが、彼女たちは誇りをもって働いたそうです。
子どもたちに質の高い教育や文化を与えたいという、人間の善なる気持ちが形に表れているようで、感動しました。
現在は、馬ではなく、自動車で配達しているようです。
この絵本に出てくる荷馬図書館員(馬で本を届ける人)も、女性ですが、しっかりした人で、どんな悪天候の日も本を届け続けていました。絵本には描かれていないけど、相当大変な事もあったでしょうし、ガッカリするような事もあったでしょう。それでも、本を届け続け、また届けられた人たちも感謝の気持ちを表現するために、貧しい暮らしの中から精一杯の贈り物をしたそうです。それらの温かい交流がステキでした。
どんな環境でも、どんな時代でも、質の高い素敵な文化・学問を子どもたちに与えたいと願う人がいる事が素晴らしいです。