黒人には、自分たちがモノであった時代があります。
モノのように売り飛ばされたから家族が家族として安心することはできませんでした。
そして、自分たちは馬より安かったのです。
奴隷という身分の人たちの運命は自分たちでは決められません。
だから、自分たちの主の話をぬすみ聞きしながら一喜一憂したのでしょう。
「ぬすみ聞き」は良いことではありません。
しかし、この本ではあえて「ぬすみ聞き」の言葉に黒人問題の重さをゆだねました。
訴えるような本ではないから、読者の心に染みこんでいきます。
最後にリンカーンの大統領就任が出てきます。
これから黒人が人間であるために様々な戦いが始まります。
絵本の家族もこの後決して喜びで満ち足りた生活ではなかったでしょう。
イントロダクションと最後の年譜。
すべてを含めてこの本は成り立っていると思います。