最初大人の私が読んで賢治らしいいい話だなと思いました。ベコ石はみんなから馬鹿にされても、決して怒らない。蚊から馬鹿にされても、最後にはベコ石の上にいる苔までもが馬鹿にしても怒らない。賢治の気持ちが穏やかなときに書いたものじゃないかな。ちょっと賢治の「アメニモマケズ」に根の方でひっついているのかもと思います。穏やかな本だけども、カタルシスがあるかどうか複雑ですね。ベコ石はその形状から珍しい石として、イギリスの大英博物館の展示物にも負けないぐらいの珍しいと石として、偉い学者さんが連れていくのですが、見出されて立身出世して、人間の好奇の目にさらされるのかいいのか、ただのベコ石としてみんなから馬鹿にされても穏やかな日常を暮らしていた方が幸せなのか・・・複雑ですね。