上の子の朝読用に用意した本でしたが、中3の子には少々物足りなかったようで、どちらかというと、小学校の高学年くらいから中1くらいの第2反抗期にないるか入らないかの時期の、お子さん向けのような気がしました。
上の子いわく、読んで損はした気はしなかったけど、特別「すごく面白かった」ってことはなかったそうです。
ですが、評価ではあえて「自信を持って」にさせてもらいました。
私がめちゃめちゃ気に入ったからです。
『神高島』のモデルは沖縄の「久高島」だそうで、
実際、久高島の小中学校では、山村留学生を受けいれているそうです。
比べてはいけないと思うのですが、先日同じ講談社から出ている『市立第二中学校…』という児童書(?)を読んだばかりで、“今どき”の中学生たちの心のすさみようにやるせないものを感じていたので、
同じ心に「痛み」や「闇」を持っている子どもたちを取り扱っている物語でも、
こちら(「赤い髪のミウ」の方)は沖縄の島という場所のせいか、
末吉さんの物語の膨らませ方のせいなのか、
開放的で、前向きで、キムジナーとか、地元のおじいちゃんおばあちゃんの存在が魅力的であったりと、全体を通して温かいイメージで読むことができました。
実は少し前に末吉さんの作品なら、『黒ばらさんシリーズ』が一番好きと書きましたが、この本を読み終えた今、
私の中では断然、この作品が『末吉作品』の中で一番好きな作品になりました。
物語も後半に差し掛かり、主人公の航が、島の暮らしの中である問題とぶつかったとき、6年生の担任をしている洋子先生がこういっていました。
「ここにきて、あたし、何枚、目からうろこが落ちたか……。
つくづくなんにも知らない小娘だったわ。
……いろんな人生があるのね。大人にも子どもにも……。」
神高島の自然や、神様(キムジナー他)、そして、その自然の中で神々と共に暮らしているシマンチュ(島人)たちと、
いわゆる普通の社会に適応できずに、小さな南の島に逃げるように(?)、もしくは追いやられるようにやってきた子どもたちの触れ合いが、とても自然で、心の中に沁み入ってくるようでした。
今、心が病んでいたり、孤立していたり、心の中にとげとげしたものを飼っている子がいたら、ぜひ、この本に出会わせてあげたいです。
読みなれていない子には少々字の多い本と思われるかもしれませんが、イラストもあるし、行間は広めで字のルビも小さすぎず、初心者(本をあまり読まないお子さん)にも比較的読みやすい作りになっています。
高学年のブックトークなどで、紹介していけたらなと、思っています。