ライオンというと,「強い」とか「いさましい」といったイメージがあるけど,周りの人の期待したイメージを裏切らないように自分を抑えて振舞うライオンが,読んでいくうちにかわいそうになってきます。初めは純粋に家にやってきたねこたちにごちそうをしたくなって獲物のをとりに出かけるライオン。しかし,ねこたちは「ひるねがしゅみ」と言うライオンのことばを信じようとしません。ライオンは強くてりっぱで,獲物を捕るのが得意だと思い,自分たちがくるたびにライオンが獲物をとりに出かけるのを当然だと思い込んでいます。挿絵のライオンの色がどんどん青や緑色になっていくのを見て,本当にしんどいライオンの気持ちが伝わってきます。子ども向けというより,おとなが読んでじ〜んとくる絵本です。佐野洋子さんの『100万回生きたねこ』のように,読んだ後考えさせられるようなおはなしです。