愛する家族のために人間の家から食料を集める行為が、
人間に軽蔑されていると知ったねずみのアナトール。
「ぼくの自尊心はどうなるの?ぼくのほこりは?めいよは?」
友人のガストンは答えます。
「そんなものわすれちまいな、アナトール。それが、人生ってものさ。」
フランス映画のワンシーンみたいなねずみ達のセリフにワクワクします。
年長さんには難しいかな、と息子の様子を窺うと真剣な表情。
子どもにだってプライドはあるものね、伝わってるようでした。
ここからのアナトールが本当にかっこいい!
ふてくされるでも、相手を恨むでもなく、
「人間におかえしができれば」という奥さんの言葉に、
アナトールだからこそできる、素敵な仕事を始めたのです。
こんな考え方、なかなかできませんよね。
ちょっとわが身を振り返ってしまいました。
経営不振のチーズ会社の試食室でチーズを味見し、コメントカードを挿していく場面は最高に楽しかったです。
色とりどり、形も様々なチーズが美味しそうでのどがゴクリ。
チーズに刺されたカードには妙に説得力のあるコメントがずらり!
「まずい すてなさい!」に息子は大爆笑。
晴れやかな気持ちになるラストまで夢中で読みました。
国旗を思わせる青・白・赤の色使いの絵がフランスらしくて素敵。
可愛らしくて、ユーモラスでいて、深いテーマがこめられたお話に親子で大満足でした。
小学生位からのお子さん、大人の方にもおすすめです。