こぐまくんのお父さんはハーモニカの演奏家。いつもの年はたくさんのハーモニカを試し吹きするだけなのに、今年はそのうちの一本をこぐまくんにプレゼントしてくれました。ハーモニカの練習をしていると、いろんな面白い吹き方ができ、こぐまくんはどんどん腕を磨きます。みんなから「お父さんみたいになれるかもしれない」と言われ、初めは嬉しかったのに、だんだん気が重くなってきました……。
セバスチャン自身ハーモニカの演奏家、作曲家です。この作品は、彼の母親がお話を書き、父親がナレーションと音楽を吹き込んだレコードアルバムからインスピレーションを得て書いたという初の絵本。まわりの人が父親と自分を比較することに嫌気がさし、ハーモニカからちょっぴり遠ざかるこぐまくんの姿が描かれています。最後には自分の道を見つけるこぐまくんに拍手。でも、お話的には結末が予測できてしまい、邦訳が自然でないのかな……、なぜかしっくりこない箇所がところどころあったのです。
息子は大の音楽好き。今度、実際にセバスチャンのハーモニカ演奏のCDを聞きながらもう一度読んでみるのも一案かなと考えます。ガース・ウィリアムズのイラストは可愛らしいですね。『おやすみなさいフランシス』を思い出しました。なんとウィリアムズは、ジョン・セバスチャンの名付け親なのだそうです。