戦争体験者の語りを絵本で紹介しているシリーズの第3巻です。
この巻は戦争に振り回される家族のことが描かれています。そして、家族の一員である愛犬についても同様だったことが書かれています。
2編の話が載っています。
第1話
「ひまわりは今も」 西川夏代:文 / 尾崎曜子:絵
4人兄弟の3番目で次女の私。姉が嫁ぎ、兄は徴兵で戦争に。自分は家業の農業を継ぐからと、兄に言われて学校に行かせてもらった私も軍需工場にかりだされます。
戦争に行く兄から「家を守ってっくれ」と言われた私はの遺志を継ぐことになります。
戦死した兄が戦地から送っていた10粒ほどのヒマワリの種。
なぜヒマワリの種なのかは解らないけれど、その種が今もヒマワリを咲かせています。
戦争で家族を失うことほど悲しいことはありませんが、残された者はその戦争をずっと引きずっているのですね。
家督を継いだ坂本さんにとって、人生に曇りがないことを祈りました。
第2話
「クロをつれていかないで」 井上こみち:文 / あいのやゆき:絵
愛犬のクロが「戦争に必要なので差し出すように」と徴用されていきます。犬にとって戦争などという意識はありません。連れて行かれる道々はしゃぎ回ったり、匂い付けをしたり…。
最近軍事犬のドラマを見て、犬も軍事用に使われたという事実を知りましたが、誰にとっても戦争は悲惨だと再認識しました。
井上こみちさんには戦争と犬を題材にしたお話が他にもあり、動物に対する愛情たっぷりのお話になっています。