『ランサム・サーガ』は各上下巻で全部で24冊あります。
シリーズ第1作の「ツバメ号とアマゾン号」から1年、ウォーカーきょうだいはまた「ヤマネコ島」で夏休みを過ごすべくやってきました。
しかし、今回はタイトルを見てもわかる通り、“ツバメ号(船)”での冒険のおはなしではありませんでした。
なんと初っ端から、ジョンが船の操作を誤ってツバメ号を難破させてしまうというショッキングな出来事から物語は始まるのです!
普通に本を読んでいて、ほんとに久しぶりに物語の中に陶酔して楽しみました。
ロジャの子どもらしい好奇心に心躍らされたり、
ティティのたくましい想像力に感嘆したり、
12,3歳くらいであろうスーザンの生活能力のいろはに感心したり
(ほんと素晴らしい航海士です!お母さんやジョンが本文中に何度か言っているようにスーザンがいれば、海だろうと山だろうとキャンプなんて朝飯前です)。
ジョンの正義感と長男らしいきょうだい想いのまっすぐな態度に、一人の母親として感動したり……。
さて、ツバメ号が使えなくなってしまった夏休み。ヤマネコ島でまた、アマゾン海賊たちとたくさんの冒険をしようと考えていたウォーカーきょうだいには散々な始まり方でした。
また、アマゾン海賊たちも口うるさい大おばさんが来ているため、普段の夏休みのような行動がとれません。
次々に起こる展開はテンポがよく、各章のタイトルも文章量も、読者の私たちにとっては申し分ありません。
この「ツバメの谷」は、内陸での子どもたちのキャンプの様子がメインになりますが、船の冒険ではないから「ツバメ号とアマゾン号」のようなワクワクドキドキに出会えないのかといえば、そんなことは全くありません。
むしろ前作のワクワクドキドキに油を塗ってより滑りをよくしたようなおはなしの流れに、時間も忘れて一気に読み終えたという感じでした。
毎日の出来事にちょっと疲れを感じている人、冒険なんて今の世のなかなかできない夢物語ね〜。なんて、思っている人も、ぜひぜひこのシリーズに手を伸ばしてほしいです。
ウォーカーきょうだいの推定年齢に合わせて、お勧めの年齢は小学校高学年くらいから中学生くらいのお子さんたち!