醜いものとして生まれたきた悲しみは、人からはわかりえない大きな大きな悲しみなのでしょう。
周りのものから蔑まれ、相手にされないよだかの心の傷は、読んでいてとても切なくなります。
自分にはとりえなどないのだと、すっかり厭世的になってしまったよだかは空を目指します。
そして息絶えていく姿は、純粋できらめいていてとても美しいのです。
宮沢賢治の童話の中で、きわめてわかりやすくて感情移入しやすい物語だから、中村さんの個性的な組み木絵は、情景と一体化できないように思います。
ちょっとしたミスマッチが残念。