安房のお寺に伝わる地獄絵図です。
地獄でこんな目に遭うのなら絶対悪いことをしてはいけないなと大人でも思うほどの恐怖を味わえました。
地獄に落ちるような悪いことというのは、強盗殺人とか放火殺人とかそういうことですよね。だからこの絵本はしつけに使うようなものではない気がします。だって子どもが地獄に落ちるような悪いことをできるはずもありません。親にちょっとウソをついたりするくらいで地獄に落ちていたら、世の中の人、ほぼ全員地獄行きです。
親より早く死んだことで地獄に落ちた子どもがいましたが、あまりにかわいそうでした。命を軽視したわけではなく、不慮の事故かもしれないです。
ならばなんのための絵本なのか。個人的には、これは民俗学的にも宗教学的にも貴重な資料だと解釈します。日本人はそうやって生きてきたのだなあと思うのです。刑法などない時代に、和を重んじ、平和に暮らす努力をしてきたのです。
5歳の息子には、「昔の人は、悪いことをすると地獄に落ちると信じていて、地獄とはこういうものだと思われていた」という前置きをして、資料として読み聞かせました。もしかしてトラウマになって、夜眠れなくなるのではと不安もありましたが、なぜでしょう。あまり怖がりません。
「じごくのラーメンや」とか「じごくのサラリーマン」とか、地獄が舞台の様々な絵本を読んできましたが、そういう楽しい地獄絵本と差を感じることなくすんなり受け入れています。
大人の私のほうが怖く感じています。
今回は図書館で借りましたが、怖くて自宅に置いておきたくありません。購入はできません。すみません。でも時々資料として借りてこようと思います。