戦争で亡くなった人の側から書かれた絵本の気迫に圧倒されました。
なんで人を殺さなければならなかったのでしょう。
なんで死ななければならなかったのでしょう。
身体の形を失ってさまよう霊の声が絵本の中で飛び回ります。
そして、死んだ魂は、母親や弟への思いを駆け巡らせます。
生きている人間のことを思うことはできるけれど、思いを伝えることができない。
無力の存在になってしまった悔しさがつらくて重いのです。
弟は兄の思いとは反する怒りで、自分も死靈となってしまいました。
戦争によって多くの魂がさまよっていることを想像すると、たまりません。
田島征三さんの描きなぐったような絵は、魂そのものです。
田島さんの伝えたい魂の叫びが痛いほど響いてきます。
「ぼくのこえがきこえますか」
聞いて欲しい人のところに届きますか。