ロアルド・ダールらしいピリ辛人間喜劇。
でもこの絵本、実話を基にして、ダールさんが当事者に取材して出来上がったものらしいので、登場人物にとっては悲しい現実なのです。
しかも実名で登場。
畑を耕す作業を頼まれたブッチャーさんが、畑で見つけたのはローマ時代の食器。
世紀の大発見でした。
ブッチャーさんにとっては厄介なガラクタにしか見えなかったのですが、作業中に登場したフォードさんが「これは金になる」とばかりに、「ガラクタ」を引き取っていきます。
ブッチャーさんは世紀の発見で一躍有名になり、大金持ちに………なるはずだったのが、フィッチャーさんにだまされてせっかくのチャンスをふい。
フォードさんも欲張りすぎて、隠匿したためにイギリスから取り上げられ、わずかな礼金を手にするだけに終わってしまいます。
当人たちとっては笑うに笑えないお話。
当人の写真まで掲載されて、笑いものにされてしまったではないですか。
でもブッチャーさんは、このお話に協力したおかげで多少は恩恵にあずかることができたのですよね。
なんとも辛口の人間喜劇。
ステッドマンの絵がインパクトがあって、好き嫌いがありそうですが、この物語のトピック性を強調しています。
ちょっと可哀想なお話でした。