湯本さんの作品で、何度か繰り返して読んでみたのは3冊で、
この作品は、この作家さんを読むきっかけになった本です。
一人の男の子がお葬式に行って、その儀式をまのあたりにして、衝撃を受けたことから、つながってゆくおはなしです。
6年生の男の子3人が主人公で、3人の気持ちや行動が丁寧に
描かれています。
好奇心で知り合ったおじいさん。そのおじいさんと少しづつ関わりを
深めてゆくうちに、温かい交流となり、信頼関係が生まれてゆきます。
季節は梅雨から始まって、暑い夏を迎え、コスモスが咲く季節で終わっています。
このお話のなかには、いろいろな生きることと死ぬことが出てきて
とてもつらい部分もありますが、印象に残るのは、おじいさんが、
少年たちとの交流で前向きになってゆく様子です。
少年たちが、おじいさんの庭に植えようと買いに行った
花の種の専門店のおばあさんとの会話もとても良かったです。
ラストは、爽やかな風が吹くように終わっています。