オコジョのタッチィが主人公のお話、二作目です。今回の季節は早春。はるのにおいを感じたタッチィは、仲良しのクマさんが冬眠から出てくるように、穴のまわりを雪かきしますが、クマさんは起きてきてくれません。そこで穴の周りに花を飾れば‥というアドバイスを受けて、タッチィは花を探しますが、見つかりません。そこで、タッチィは南に向かう汽車に乗って、「はるをさがしに」でかけます。
前作の「ねんにいちどのおきゃくさま」でも思ったのですが、この作者の絵本は、絵をとても丁寧に、そして贅沢に描く人です。
今作品では、タッチィと女の子の電車の中での様子が、絵葉書のように描かれています。その旅は決してにぎやかではないのですが、徐々に春へと近づいていく静かな気持ちの高まりが、色とりどりの花の中を走る汽車の絵から伝わってきます。
そして、南の町で見つけた一面のお花畑。お花の代わりに「はちみつ」をクマさんのために持ち帰ったタッチィが山のふもとに戻ると、雪はだいぶ溶け、自分のからだも春の色に変わっていました。ラストは目を覚ましたクマさんと、楽しくおしゃべりするタッチィの姿が描かれています。
クマさんを起こすためにそこまでしなくても‥、とは少し思いましたが、春を待つ喜びが感じられるこの季節にピッタリの絵本。子供たちも気に入っているようです。