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自信を持っておすすめしたい 2023年の夏は暑かった  投稿日:2023/09/24
ホットドッグ
ホットドッグ 作・絵: ダグ・サラティ
訳: 矢野 顕子

出版社: Gakken
2023年の夏は暑かった。
 きっと多くの人の記憶に残るほど、2023年の夏は暑かった。
 人間も35度を超えるとへばってしまうくらいだから、
 もっと地面近くを歩くことになる犬たちにとっても
 2023年の夏はこたえたに違いない。
 まさに「HOT DOG」。

 2023年コルデコット賞とエズラ・ジャック・キーツ賞という絵本の賞をW受賞した
 ダグ・サラティの『ホットドッグ』は
 暑いニューヨークの街を散歩する一人の女性と犬の物語。
 二人(正しくは一人と一匹ですが)は暑くて喧噪の街を逃げ出して
 涼やかな海岸へと向かいます。
 そこで快適な一日を過ごします。
 でも、日が暮れて、やっぱり街に戻らないといけません。
 ありがたいことに、夜の街には風が吹いて、昼とは大違い。
 そんなうらやましい夏の一日を描いた作品です。

 この絵本を読んでみようと思ったきっかけは
 訳者の名前にあれっ? と気になったから。
 矢野顕子とあります。
 矢野顕子さんといえば、1980年代にYMOなんかと一緒に活動をしていた
 有名なミュージシャン。
 今はこの絵本の舞台となったニューヨークで生活をしているのだとか。
 絵本がもっている弾むような生活感と
 矢野さんが訳された短い文章がとてもマッチしていて、
 犬好きな人はもちろん、
 2023年のものすごい暑い夏にうんざりしていた人にも
 オススメの絵本です。
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自信を持っておすすめしたい そのビルはもうないけれど  投稿日:2023/09/17
綱渡りの男
綱渡りの男 作・絵: モーディカイ・ガースティン
訳: 川本 三郎

出版社: 小峰書店
2001年9月11日、その日起こった事件のことはよく覚えています。
 事件を伝えるTV中継のその最中に、また一機の航空機が
 背の高いビルに突っ込んで、ビルは崩壊します。
 3000人近い人が亡くなり、25000人以上が負傷した
 世界を揺るがす大事件です。
 のちにアメリカ同時多発テロと呼ばれます。
 この時崩壊したのが、
 ニューヨークにあったワールドトレードセンターの高層ビル2棟でした。
 今はこの二つのビルを見ることはありません。

 2つのビルが完成間近の、1974年8月7日の朝、
 2つのビルの間に張られた一本のロープを
 綱渡りで渡った男がいました。
 この絵本『綱渡りの男』(作 モーディカイ・ガースティン)は、
 その青年フランスの大道芸人フィリップ・プティが
 どのように綱を張って、
 綱の上でどんなパフォーマンスをしたかを描いた作品です。
 翻訳をしているのは、映画評論家の川本三郎さん。
 川本さんが絵本の翻訳(この絵本は2005年刊行)をしているのは知りませんでしたが、
 そういえば、この絵本はまるで映画を観ているような
 大胆な構図と大きな画面が伝わるように工夫されています。

 この絵本は単に綱渡りという大道芸を描いた作品ではありません。
 今はなくなった2つのビルのことを思い出し、
 ビルがなくなった原因に思いをはせることです。
 そして、そのあとに起こる憎しみの連鎖のことも考えてみましょう。
 同時多発テロを知らない多くの若者たちに
 この絵本は静かに問いかけているように感じます。
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自信を持っておすすめしたい 台風の季節に読みたい絵本  投稿日:2023/09/12
11ぴきのねことぶた
11ぴきのねことぶた 作: 馬場 のぼる
出版社: こぐま社
絵本『11ぴきのねこ』シリーズは、作者馬場のぼるさんの代表作でもあるし、
 絵本の世界でも長く愛されてきた名作でもある。
 馬場のぼるさんは1927年生まれで、
 戦後まもなく手塚治虫や福井英一ととも「児童漫画界の三羽ガラス」と呼ばれたという。
 ただ、児童漫画が次第に過激になっていくのを嫌った馬場さんは
 やがて絵本の世界に魅了されていくことになる。
 そして、誕生したのが『11ぴきのねこ』シリーズだ。

 この『11ぴきのねことぶた』はシリーズ3作めの作品として
 1976年に発表された。
 いくら人気のシリーズといえ、
 そんな昔の絵本をどうして手にしたかというと、
 この物語に「台風」がでてくるからだ。
 絵本は四季折々の魅力を楽しめる媒体でもあって、
 季節に合った物語を楽しめる出版物でもある。
 季節は9月。
 9月といえば、「台風」。
 図書館の司書の方に「台風」が出てくる絵本を訊ねて
 出してくれたのが、この絵本だった。

 旅の途中で、壊れかけの古い家を見つけた11ぴきのねこたち。
 誰も住んでいないのをいいことに、
 ここに泊まろうと、みんなできれいに片づけます。
 そこにぶたさんがやってきて、おじさんの家を訊ねます。
 この古い家がそうだったんですね。
 ねこたちは、ここは自分の家といいはります。
 ぶたさんは仕方がないので、近くの丘の上に家を建て始めます。
 あまりにきれいにできたので、ねこたちは今度はそこが自分たちの家だと言いだして。
 ひどいねこたちですが、そこに台風がやってきて…。

 身勝手なねこたちですが、
 憎めないのは馬場さんの絵だからこそでしょう。
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自信を持っておすすめしたい 機能が増えても大きくなりません  投稿日:2023/09/05
星新一ショートショートセレクション(6) 頭の大きなロボット
星新一ショートショートセレクション(6) 頭の大きなロボット 作: 星 新一
絵: 和田 誠

出版社: 理論社
 『星新一ショートショートセレクション6』(理論社)。
 表題作である「頭の大きなロボット」をはじめとして、18篇の「ショートショート」が収められた、児童書。
 装幀・挿絵(それぞれの作品にひとつ挿絵がついています)は、和田誠さん。

 「頭の大きなロボット」は、忘れっぽいという欠点をもったエヌ氏が秘書替りに作ったロボットのお話。最初はなかなかうまくいっていたが、次第に欠陥が出てきて、それを補う機能を追加。今度こそうまくいったと思ったが、さらに新手の欠陥が発覚。それならとさらに機能を追加。さらに追加、もっと追加。とうとう頭が大きくなりすぎてエヌ氏の上に倒れ込んでしまう。
 このショートショートを読んで、エヌ氏を馬鹿にできないことに気付かされる。
 最近のスマホにしてもどんどん機能が増えて使いこなせなくなっている。だからといって、星さんが描いた世界よりも現在はうんと進んでいるのだろう、機能がどんなに増えても機器は大きくなっていないのだから。
 ただ掌の中で、使いこなせない機能に啞然とするばかり。
 さすがの星さんも、そんな現代人の姿を予見できなかっただろう。

 ほかに面白かったのは、巻頭の「破滅の時」。
 ある時、宇宙からやってきた異星人が「このままだと地球は破滅する」と予告して死んでいく。それに慌てたのが、わが地球の人類。戦争なんかしている場合じゃない。公害が破滅の要因かもしれない。では、みんなで公害をなくそう。あれはどうだ、これは問題だ、と人類は地球の破滅を食い止めようと必死になって、ついに地球にやってきた異星人の星にお礼がいえるところまでよくなった。ところが…。
 こんな異星人、現れないだろうか。
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自信を持っておすすめしたい 少年が見た夏の日の夢  投稿日:2023/09/03
夏 作: あべ 弘士
出版社: ほるぷ出版
あべ弘士さんの『夏』という絵本。
 2023年7月に出た新しい一冊です。
 あべさんは北海道旭川市に生れた、いわゆる道産子のひとり。
 この絵本は少年時代のあべさんが見た「夏」が描かれています。
 セミが鳴き、チョウが飛ぶ。
 機関車が行ったり来たりしている。
 畑の中の一本道を自転車で行く少年は、あべさん自身だろうか。
 虫に夢中の少年の夏休みももうすぐおわる。
 彼にはこの夏にどうしても見ておきたいチョウがいる。
 オオヒカゲチョウ。

 どんなチョウなのか、
 読者はあべさんが描く姿で知ることになる。
 少年が見たのは、羽一面の地図。
 少年が住む町。あるいはやがて、少年がでていくだろう広い世界。
 一瞬垣間見える、少年が見た夏の日の夢。
 なんと多くの色に満ち溢れた世界だろう。
 誰もが経験する「夏」。
 あべさんはそんな経験を一冊の絵本に仕上げてくれました。
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自信を持っておすすめしたい 窓から出入りできる大人になってみますか  投稿日:2023/08/29
子どもの本の森へ
子どもの本の森へ 作: 河合 隼雄 長田 弘
絵: 河合 隼雄 長田 弘

出版社: 岩波書店
この対談集は1998年に出たものですが、
 今読んでもとても参考になる児童文学のすすめです。 

 河合さん長田さんともに児童文学への造詣が深く、
 たくさんの示唆に富んだ言葉がたくさん含まれています。
 「大人と子どものいちばんの違いは、」と語っているのは長田さん。
 「子どもは窓を乗り越えて出入りできる人間」で
 「大人というのはもう窓を乗り越えなくなった人間」という意見に
 詩人の感性を感じました。
 あの『ピーター・パン』がまさにそんな少年だったことを
 思い出しました。

 「子どもの本というのは「読みたい」とずっと心にのこっている本」と
 長田さんが言っていますが、
 大人がこの対談集を読む意味は
 そういう「心に残っている」「読みたい本」を見つけだす
 手伝いになってくれることでもあります。
 この対談集ではたくさんの児童書。絵本が紹介されています。
 きっとその中に、「読みたい本」が見つかるでしょう。
 もしかしたら、児童文学は大人だから楽しめるジャンルかもしれません。
 さあ、「子どもの本の森へ」踏み出しましょう。
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自信を持っておすすめしたい 動物園は何度行っても楽しい  投稿日:2023/08/27
あしたの動物園 熊本市動植物園のおはなし
あしたの動物園 熊本市動植物園のおはなし 作: 野坂 悦子
絵: いたや さとし

出版社: 玉川大学出版部
犬や猫、小鳥といったペット類は私たちの身近にいる動物です。
 牛や馬、鶏といった家畜類も、私たちの生活に欠かせない動物です。
 では、動物園で飼育されている動物たちはどうでしょう。
 やっぱり私たちの生活を潤わしてくれる動物たちに間違いありません。
 そんな動物園の動物たちが時にとてもひどい仕打ちを受けることがあります。
 それは、戦争の時。
 動物園にいるライオンなどの猛獣は処分された悲しい体験があります。
 日本で6番めに開園した古い動物園である熊本市動物園(現在は「熊本市動植物園」でも、
 戦争中に同じことがありました。
 そして、戦争以外にも地震などの大きな災害の時、
 動物園は休園しなくてはいけない時があります。

 絵本『あしたの動物園』(作 野沢悦子/絵 いたやさとし)は
 2016年4月14日と16日に起こった熊本地震で休園を余儀なくされた
 熊本市動植物園がどう動き、どう再開していったかを描いた物語です。
 そして、動物たちを一時的に避難させた際に
 戦時中の悲しい話も描かれていて、
 動物園と私たちの関係性がきちんと描かれていきます。

 野坂さんの文章は丁寧な取材と熊本市動植物園の協力もあってとてもわかりやすく、
 それでいてきちんと物語となっています。
 そして、いたやさんの絵は動物たちの姿だけでなく、
 動物園の飼育員の皆さんや来園客の楽しそうな表情もほのぼのとして
 物語ととてもよく合っています。

 たくさんの時を経て、動物園の姿も動物たちとのかかわりも変化しています。
 この絵本から「あしたの動物園」を夢見るものいいかもしれません。
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自信を持っておすすめしたい 宿題終わったかな  投稿日:2023/08/20
なつやすみ
なつやすみ 作: 麻生 知子
出版社: 福音館書店
楽しかった、そんな夏休みの思い出を
 麻生知子さんの『なつやすみ』という絵本で追体験してみてはどうかな。
 この絵本では
 こうたくんの家にいとこのゆうこちゃんととしのぶくんの家族がやってくる
 そんな場面から始まります。
 こうたくんの家にはおばあちゃんも一緒に住んでいるから
 ゆうこちゃんの家族は帰省してきたのです。
 3人の子供たちは服の色のちがいで描かれています。
 見開きで描かれる家の中とか広いプール、近所の神社のおまつりで
 子供たちやその家族のみんなを探すのも面白い仕掛けのようになっています。
 色使いや視点の違いで、楽しみが倍増されるのが実感できます。

 いとこのゆうこちゃんたちがやってきて
 楽しんだこうたくん、
 ちゃんとそのことを絵日記に書いています。
 裏表紙を見たら、こっそり読めますよ。
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自信を持っておすすめしたい 読書の面白さを堪能しました  投稿日:2023/08/18
中学生までに読んでおきたい日本文学(2) いのちの話
中学生までに読んでおきたい日本文学(2) いのちの話 編: 松田 哲夫
出版社: あすなろ書房
全10巻からなるこのシリーズは2010年に刊行されていますが、
 最近までこういった本が出ているのを知りませんでした。
 この夏、おそらく子供たちの夏休みに合わせてだろうと思いますが、
 このシリーズの広告が新聞に出ていて、興味を持ちました。
 日本文学といってもここでは短編が主で、
 しかも詩が収められていたりします。
 取り上げられている作者も明治の文豪から現代作家まで彩々。
 ラインナップをみているだけで読書意欲が高まります。

 シリーズ2巻めとなるこの本に載っている作者と作品は以下のとおり。
 石垣りん   表札 (これは詩)
 有島武郎   碁石を呑だ八っちゃん (懐かしい作者です)
 吉野せい   梨花 (作者自身の子供の死を描いています)
 森鷗外    山椒大夫 (お話としては知ってますが鷗外の作品として読むのは初めてかも)
 島尾敏雄   島の果て (島尾敏雄といえば『死の棘』が有名)
 長谷川四郎  鶴 (この巻ではこの中編がよかった)
 原民喜    夏の花 (このあまりに有名な原爆小説を読んだのも初めて)
 太宰治    魚服記 (太宰の初期の作品。やっぱり巧い)
 海音寺潮五郎 極楽急行 (こういう作者まではいっているのがうれしい)
 梅崎春生   チョウチンアンコウについて (わずか3ページのエッセイながら絶品)

 読書の面白さを堪能あれ。
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自信を持っておすすめしたい 花火が平和の象徴でありつづけますように  投稿日:2023/08/13
空にさく戦争の花火
空にさく戦争の花火 作: 高橋秀雄
絵: 森田 拳次

出版社: 今人舎
漫画家森田拳次さんといえば、
 やはり「丸出だめ夫」が代表作であろう。
 1964年から67年にかけて「少年マガジン」に連載され人気を博した。
 ペーソスのあるギャグ漫画だった。
 その森田さんは1939年生まれで、少年時代を満州で過ごした経歴を持つ。
 敗戦時には中国奉天にいたという。
 森田さんが得意とするギャグ漫画の根っこには
 敗戦時に経験したさまざまなことがあるのだろう。
 ちばてつやさんらとともに「私の八月十五日の会」を立ち上げ、
 戦争を語る継ぐ活動にも力を注いでいるのも、
 同じ根っこから出ているのだろう。

 絵本『空にさく戦争の花火』は、
 高橋秀雄という児童文学者が文を書き、
 森田さんが絵を描いている。
 夏の夜空を彩る花火がきらいだった春造さんというおじいさんの話。
 どうして春造さんは花火がきらいだったのか。
 その理由がかつての戦友だった人から明かされる。
 春造さんは花火を見るたびに
 戦争中の艦砲射撃を思い出していたという。

 森田さんの絵のベースは漫画作品のように素朴なのだが、
 戦争を描く場面では黒を基調とした荒々しいタッチと変わる。
 おそらく森田さんには自分たちの世代が経験してきた戦争というものを
 次の世代にちゃんと渡しておきたいという
 強い思いがあるのだろう。
 コロナ禍があけて、
 各地の花火会場には多くの人がつめかけている。
 私たちが今見る花火が、いつまでも平和の花火でありますように。
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