鈴木のりたけさん「続・しごとば」制作日記 その7
鈴木のりたけさんの「続・しごとば」制作日記は移行しました。
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鈴木のりたけさんの「続・しごとば」制作日記は移行しました。
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「ぞくぞく村のおばけ」シリーズや「きょうりゅうほねほねくん」シリーズ、「ざわざわ村のがんこちゃん」シリーズ(テレビ版脚本、読み物)等々でユニークな作品をたくさん生み出されている作家末吉暁子さん。末吉暁子さんの作品はこちら>>>
そんな末吉さんが新たに取り組まれたのが「クルミ森のおはなし」シリーズ。その第1弾が発売されました!
『クルミおばばの魔法のおふだ』
作・末吉暁子 絵・多田治良 ゴブリン書房刊
夏休み。コータとお姉ちゃんのユカは、おじいちゃんに「クルミ森」につれてきてもらいました。セミ採りに夢中になったコータは、みんなとはぐれてしまい、木と葉っぱの手足をした女の子・クルミっこと出会います。コータはいつのまにか「クルミおばばの森」へ迷いこんでしまっていたのです・・・。(小学校初級~)続きはこちらから>>>
クルミ森の豊かな自然を舞台に繰り広げられる、ちょっぴり不思議でゆかいな物語です。
そして、物語をより奥深く、より魅力的にみせてくれる絵を描かれているのが多田治良さん。
「おばけ屋」シリーズのおおらかで大胆な絵が魅力的な画家さんです。
そんなお二人が、発売を記念して絵本ナビオフィスにお越しくださいました!
作家さんと画家さんのおふたりに同時にインタビューというのは初めて。
物語はどの様に生まれてくるのでしょう、絵本を制作される時との違いはあるのでしょうか、
大変貴重なこの機会にちょっぴり緊張しながらも・・・「クルミ森のおはなし」シリーズについて、またお二人御自身の話、読者に向けてのメッセージなど沢山お伺いしました。
■ 「クルミ森のおはなし」誕生のきっかけ
―― このお話は何と言っても、大きくて立派なクルミの木がとても印象的。そんな木のあるこのクルミ森を舞台に物語を書こうと思われたきっかけというのはあったのでしょうか?
末吉暁子さん(以下敬省略):「たまたま去年の秋頃、うちの夫が子どもの頃、戦争で疎開していた、高尾山の麓の小仏峠という所へ出かけたんですね。そうしたら、そこへ到る途中に森があって、それがとてもいい感じだったんです。更に、他にも色々な出来事や思い出があった場所をまわったりしながら、疎開していた家にも行ったんです。戦時中なので60年以上も前だったのにも関わらず、当時子どもだった方々が夫の一家の事を覚えていて下さったんですよね。
そんないろいろな事があってから、また森の風景を見ると全然違うように見えたんです。ああ、こんな森が舞台になった物語を書いてみたいなぁと思ったんです。ただ、そこにクルミの木そのものはなかったんですけどね。」
―― ではクルミの木は想像されて書かれたんですか?
末吉:「そうですね。ただ、実際にはその森の入り口付近に大きな美しい紅葉の木が立っていてとても印象だったんです。
そこで物語としては、クルミの木の実、木の精、そういうものがクルミおばばに繋がるような象徴的なものとして思い浮かんだので、森の入り口に立つクルミの木というものを想像して書いたんです。小川の風景や渓谷、森の印象などはそのままです。クルミの木は(絵を描かれた)多田さんが実際に近くで見に行って来てくださったんですよね。
またこの物語にはおじいさんが出てきますよね。おじいさんの話を通して疎開や戦争などの話も伝えたいというのもあるんです。ただ、最初からそういう事を言っても今の子はピンと来ないだろうという事もあって、最初は面白いお話をつくったんです。
これからシリーズが進むにつれてそういう事も伝えられたらいいなとは思っています。」
―― (多田さんにお伺いします)見返しにはクルミ森の地図も描かれていますね。こういう地図などは末吉さんと多田さん、お二人で決めながら描かれるのですか?
多田治良さん(以下敬省略):「いいえ、すでに末吉さんの文章が最初にありました。そのストーリーを読みながら僕の中で、クルミ森とはこういう森でこういう小川が流れていて、クルミの木はこういう木かな・・・など想像しながら描いていきました。
近くの目黒区の林試の森公園という所にクルミの木がありまして、そこでスケッチしたりして。それをまた末吉さんにぶつけてみて、いやここにはこういうのがあった方がいいというやりとりがあったりして。そんな風にして出来上がっていきました。」
―― 絵を描かれる方はそんな風に実際に取材をされる方も多くいらっしゃるかと思うのですが、末吉さんも物語を書かれる時に実際に見られたものからインスパイアされる事は多いのですか?
末吉:「そうですね。頭の中だけでつくっちゃうとなんとなくリアリティがなくなっちゃう、という事もあるんですよね。また、実際に風景を見たことで内容ががらっと変わった、ということもありました。
以前、林明子さんと組んで書いた絵本『もりのかくれんぼう』という作品なんですが、最初に思い描いていたイメージは真っ黒い森のイメージだったんです。
林明子さんはもともときちっと取材をされて絵を描かれる方なので一緒に軽井沢の森の方へ見に行ったんです。紅葉の真っ最中で、金色がとってもきれいだったんですね。それで文章はころっと変わりましたね。<きんいろにけむったような秋のもり>というイメージになったんです。」
★1977年に長編第1作として書かれた「星に帰った少女」の舞台となった場所を、リニューアル出版の機に再び訪れている取材記録が末吉さんのHPに掲載されており、こちらも作品と合わせてご覧になるととても興味深い内容なのです!こちらから>>>
■ キャラクターの魅力
―― 末吉さんが書かれる物語の魅力の一つはそのユニークなキャラクター!例えば「ぞくぞく村のおばけ」のユニークなおばけ達、破天荒で子どもらしい性格の「がんこちゃん」や一風変わった登場人物などなど。今回も架空の世界と現実の世界の橋渡しをしてくれるくるみっこを始めとして色々なキャラクターが登場しますね。
末吉:「そうですね。やんちゃな男の子コータだったり、ひきがえるのヘータロだったり、おばばだったり。特にクルミおばばについては「森の守り主」と言っていいような、超自然的な存在というものを一度描いてみたかったというのがあるんです。ちょっと怖いような、でも親しみがあるように人間くさいような部分も出してみて。顔もくるみの殻をちょっとずらした感じのカスタネットみたいな感じで・・・なんて言ったら多田さんがイメージ通りにキャラクターを描いてくださって!とても気に入っているんです。」
―― そんな独特な性格を持つユニークな登場人物を多田さんが描き出されたんですね・・・
多田:「末吉さんの文章から、おばばはこんな感じかな、コータやくるみっこはこんな感じかなと想像しながらキャラクターをつくっていきました。僕が考え出したものを末吉さんや編集の津田さんに提示して、また練り直したりして。それなりに色々と時間はかかりました(笑)。」
―― 確かにこの物語の中で、クルミおばばとくるみっこのその姿は物語の印象を決めるとっても大事な存在こんなやりとりの中で生まれていくのですね。
▲そして生まれたクルミおばば!確かに性格がにじみ出ているような。
▲おばばの部屋。細かく見れば見るほど魅力的!
切りかぶのテーブル、細い草の葉で編んだテーブルかけ、ひょうたんや貝殻のおちゃわん、
木のいすやベンチなど、眺めていると更にその物語の世界を深く楽しめるのです。
末吉:「今制作中の2巻目には、おじいちゃんのちょっと不思議なことが描かれていますよ。」
そういえば、最後の方の終わり方には色々な含みがあるような(おじいちゃんの思い出、とかね)。一体どんな展開になるのでしょう。
■ 森の四季の移り変わりを描く
―― 「クルミ森のおはなし」はシリーズを通して春・夏・秋・冬と森の四季を描き出される予定なのだそうです。最初に登場した第1作目の季節は「夏」。随所に夏ならではの魅力にあふれた表現が登場します。生い茂る緑の木々は見ているだけでも気持ちよく、今にもセミの大合唱が聞こえてきそうです。そしてクルミおばばが作るかんろ水、ひんやり冷たくて美味しそうにみえますね・・・。
末吉:「そうですか?かんろ水は読者の方に飲みたいかどうかは微妙、と書かれた事がありますよ(笑)。確かに色々なものが入っていますし、特に極めつけの秘伝のたれがね。」
―― そういえば、見た目は何だか美味しそうなのですが、想像のつかない色々なものが入っているんです(詳しくは読んでみてね!)
じゃあ、さすがに実際につくってみたなんてことは・・・?
末吉:「そこまではしませんよ(笑)。架空の飲み物なので実際には手に入らないものをわざと持ってきてるんです。どんな味なのかなぁと、読んでくれる人が想像してもらいたいですしね。でも、しそジュースとかは最近ちょっと凝っているんです。しそを煮て、こして砂糖と酢を入れて出来上がり。すっとして美味しいですよ。」
―― クルミ森の四季を描きながら、子ども達に感じ取って欲しいことは何かありますか?
末吉:「自然や森が生かしているものは人間だけでなく、小さな虫から小さな動物、それから大きな動物まで全部ひっくるめて生態系として森の中でめぐりめぐって生きているんです。人間だけが生かされているわけじゃない、そういう部分が描けたらと思っています。」
―― そういう自然というものを絵にするのは難しいですか?
多田:「僕は東京の下町育ちなんです。だから田舎の森で遊びまわった体験というのはあまりないんです。どちらかというと森は憧れの存在ですよね。それは大人になった今も子どもの時も変わらないですよね。森の中を走り回ったり、動物に出合ったり、その時の驚きなんかを体験したかったなぁと思うのです。例えば、大人になって子どもと一緒にキャンプに行ったりしても、うっそうとした森の奥を見てしまうとちょっと怖くてそれ以上は立ち入れなくてくるっと引き返してしまったり(笑)。そういう部分も含めて表現したいなあとは思ってますよね。」
―― 1巻目が「夏」と言う事は、2巻目は・・・?
末吉:「秋の森が舞台です。秋のクルミまつりが行われるんです。紅葉の美しい森と、お祭りに集まってくる森の新しいキャラクターが沢山登場してきます。」
多田:「そうなんです。新しいキャラクターは沢山描きました!あ、今日はちょっと持ってきていますよ。」
今まさに制作の真っ最中とのこと。そのラフをちょうど持っていらっしゃったという多田さん、編集の津田さんも初めてご覧になるというその貴重な場面にラッキーにも居合わせてしまうというハプニングもありました。(遠くからその様子を拝見させて頂きました。)
▲紅葉の場面の美しさに目を奪われます・・・。まだ未決定なので完成品は発売を楽しみにしてくださいね。
■ 『クルミおばばの魔法のおふだ』のみどころを伺いました!
―― これから読まれるであろう方に向けて、おふたりに改めてこの物語のみどころをお伺いしてみました。
末吉:「クルミっこ達と一緒に歌ったり楽しんでもらえたら嬉しいですね。
例えばいつもちょっと不機嫌なヒキガエルのヘータロや、こわいところもあるけど豪快で人間味のあるおばば、やんちゃなコータなどのキャラクターも、例えば声に出して読まれるんだったら声色を変えてみたりして楽しんで欲しいですね。」
―― 歌も沢山出てきますよね。
末吉:「以前、テレビ版がんこちゃんの中でもよく途中で歌が入っていたんですね。それで子どもたちが嬉しそうにしているのがいいなあと思って。それからは読んでいる子ども達が喜んでくれるように、機会があれば歌の場面を入れたいなぁと考えるようになったんですね。」
―― 楽しい詩が印象的。メロディーもあるんですか?
末吉:「リズムやメロディーなんかは特に考えていないので、読んでいる人が好きなように適当に入れて楽しんでくれると嬉しいです。」
―― (多田さんにお伺いします)特にここは見てもらいたい!という場面を教えてください。
多田:「おばばの家の場面(※上記参照)や、おばばの家の入り口の場面なんかですね。(※クルミの殻が並べて飾ってあったりして、こちらもとても愛らしいんです。)
後はやっぱりおばばなり、くるみっこなり、コータなりのキャラクターですね。」
―― 今回の多田さんのタッチは、既刊「おばけ屋」シリーズの絵のタッチと驚く程違いますね!
多田:「今回はタッチをがらっと変えてください、という要望もあり細い線で細かく描いています。」
(※編集の津田さんよりこのあたりをご説明いただきました)
ファンタジーの中でもこの本のように骨子がしっかりしていて、リアリティーの延長線にあるファンタジーであるという事や、コータが現実と架空の森を行き来するという事もあり、リアルさを保ちつつ異世界に行くという意味でも今回はこのような細密なタッチでお願いしました。
確かに森の様子や、部屋の様子、表情など細かい部分まで描かれていることが、子ども達にとってもかえって安心して架空の世界を楽しんだり思いっきり想像したりできるのかもしれませんね。
更に、森の木々の大胆で大らかな表現と線描とのバランスも独特で面白いのです。更に2巻目からの表現方法も楽しみになりますね。
■ 末吉暁子さん御自身について伺いました。
―― 今後こんな物語を書いていきたい、というのはございますか?
末吉:「今まで小さい子向きの童話から高学年向けの児童文学まで色々な物語を書いてきました。でもやっぱり小さい子が喜んでくれると嬉しいんですよね。
先日もね、「ぞくぞく村のファンです」って近所の幼稚園に通っているという女の子がお母さんと一緒にお手紙を直接自宅に置いていってくれたんです。小さい子が自分で読んで面白いって言ってくれるのがいいじゃないですか。親から勧められたり課題図書で選んだという訳でもなく自分で選んで読んでくれたのが嬉しいですよね。
だからこれからも、こんな小さな子達が喜んでくれる様な物語が一番書きたい!と思っています。また、絵本というのは全然つくり方が物語とは違うものだと思うのです。だから、やっぱり小さな子でも読める物語というものを作っていきたいですね。」
―― 「ぞくぞく村」は特にテレビ絵本(NHK教育テレビ)になって放映されてからの反響も増えたのでは?
末吉:「そうですね。最近また反響が増えたように思います。テレビ絵本がきっかけとなって、また本を読んでくれたらそれはとても嬉しいですよね。
このテレビ絵本というのは、ナレーターの人の感じで大分印象が変わったり、ちょっと動いたり、そのバランスが結構面白いですよね。」
―― 最後に絵本ナビ読者に向けてメッセージをお願いできますか?
末吉:「親子で一緒に楽しめるというのは低学年向けの童話ならではだと思います。
子どもと一緒に読みながら、親の世代の人もちょっと童心に返ってストーリーの楽しみを共有してもらえたらと思います。
また小さい子向けの童話にとって、絵はとても重要なんです。
「クルミ森のおはなし」なんかも絵を見ただけではちょっと笑ってしまう、なんて場面があると思います。
そういうところは絶対親子で共有できると思いますね。
そんな風に本を読みながら親子で一緒に共有(笑ったり楽しんだり)できたらいいですよね。」
★末吉暁子さんが絵本ナビ読者の方へ向けて素敵な直筆メッセージを書いてくださいました!
■ 多田治良さん御自身について伺いました。
―― 多田さんはずっと広告やイラストの仕事を手掛けられてきたそうですね。「おばけ屋」シリーズでの大らかで大胆なタッチはずっと児童書を手掛けられてきた方と思うくらいのびのびと魅力的な絵だと思います。児童書、絵本を描かれるようになったきっかけというのはあるんですか?
多田:「学生の頃から絵本の世界には興味があったんです。仕事をしている時は広告の仕事が多かったので、なかなか機会がないという事もあったんです。
それで、粟田と(デザインスタジオで一緒に仕事をされているあわたのぶこさん)そろそろ始めますか・・・と児童書の創作に取りかかりました。「おばけ屋」シリーズの時は、墨と筆ではみ出すような感じで描こう!とはじめたものです。」
※現在は、あわたのぶこさんとのコンビで数々の作品を発表されている多田さん。多田さんの作品はこちらからどうぞ>>>
―― 絵本も読みものも制作されているそうですね。今回の「クルミ森」のように物語の絵を描かれる時の楽しさはどんな所でしょう?
多田:「やっぱりストーリーですね。ストーリーの世界の中でどういう絵にしようかと考えたり、流れを断ち切らないようにしながらどう描いていくかと考えながら制作していきます。
広告の仕事の時は一枚で完結させていく事が多いのですが、こんな風にストーリーのある世界をつくっていくのはまた全然違ってそういう流れを感じながら、という部分が楽しいですね。」
―― 最後に絵本ナビ読者に向けてメッセージをお願いできますか?
多田:「本をじかに手にしてページをめくる楽しさ。次に何が出てくるのか期待する感覚。
そういう手触り感というのは子どもには必要なんだと思います。
本に触れることでそんな経験をたくさんして欲しいと思いますし、子ども達が思わずめくりたくなるもの、楽しさで惹きつけられるものをつくりたい、というのは常にあります。
僕は、これからもそんな風にものをつくっていきたいと思っています。」
★多田治良さんが絵本ナビ読者の方へ向けて素敵な直筆メッセージを書いてくださいました!
このまま一つ絵本が出来上がっちゃいそうですね。
■ おまけ画像!
▲末吉暁子さんが特製「がんこちゃんせんべい」を送ってくださいました!可愛い。
「がんこちゃん」らしくなかなかの歯ごたえでした(笑)。
▲こちらは多田さんの近刊絵本です!また雰囲気が全然違いますよね。
(書店では流通していないものの為、残念ながら現在は購入できません。)
▲最後に記念にパチリ。
末吉暁子さん、多田治良さん、ありがとうございました!
小さな女の子が公園で出会ったちょっぴり不思議なお話『こうえんのかみさま』。
ユーモアたっぷり、ほのぼのとしたお話は、子ども達には勿論、大人が読んでも懐かしい気分になれそうです。
内容の詳細はこちらから>>>
◆作者のすぎはらともこさんよりこの作品に寄せてコメントを頂きました!
幼い頃見たかもしれない、でも忘れてしまった色いろなものを想像して、この本を描きました。
偶然捕まえた泣き虫なこうえんさまと出会い、まあが見る「景色」が、いちばんのみせ場と思っています。
大人の方は、眠った記憶を呼び起こし、小さい方はこれからの出会いを思って、お読みいただければうれしいです。
◆本作品を担当された編集の方にもすぎはらともこさんの作品の魅力をお伺いしました。
著者似顔絵からも伝わるように、すぎはらさんは絵本の主人公まあちゃんをそのまま大きくしたような女性。ちょっとおっとりした雰囲気ながら、さらっとおもしろいことを言ってしまう・・・『こうえんのかみさま』は、そんなすぎはらさんならではの、とぼけた味の絵本です。
絵本ナビ読者のみなさんに向け特別に、<こうえんさま>とはどんな人(?)か、すぎはらさんに伺ったところ・・・
1.公園の安全を守る人。
2.みんな知らないけれど「動くお地蔵さん」みたいな身近な存在。
3.時には、ケンカやケガからも守ってくれる。
4.乗り物に乗ることもある。季節によって、種類を変えるらしい。
5.人に見られないよう、生活している。・・・だそうです。
絵本を読んだ後、公園で「こうえんさま」を探す子どもたちに出会えたら・・・と夢見ています。すぎはらさんの次回作も、どうぞ楽しみにしていてくださいね!
◆すぎはらともこさんが直筆メッセージを描いてくださいました!
本当に素敵なメッセージ、ありがとうございました。
これからも目が離せない絵本作家さんですね。
新作を楽しみにしています!
こんな可愛らしい絵本があります。
『ねこのミルとねずみのチムニー』
原 裕朗・作 森山杳里子・絵 ブロンズ新社・刊
この作品を出版しているブロンズ新社さんの担当編集者の方が山縣綾さん。
山縣さんがこの絵本の事を語られる時、まるで我が子を見るような視点でおっしゃるのがとても印象的で、思わずこの原稿を依頼してしまったのです。
編集の方の目線を知る機会というものは、読者である私達にとっては意外と少ないものです。
その想いの深さは、作者の方に勝るとも劣らずなのです。
『ねこのミルとねずみのチムニー』の制作秘話、作者の方とのやりとり、本作品のみどころなど普段伺えない貴重なお話から、原さん、森山さんの愛猫のお写真まで見逃せない記事となりました!絵本とともにご堪能ください。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
原さんと森山さんの手がけられた、とある作品を見て
私がご連絡をとらせていただいたのは、
さかのぼること7年前でした。
当時おふたりは、別のプロジェクトを手がけておられ
「絵本を描きませんか ?」という依頼に
こたえていただけない状態・・・難しいというお返事でした。
もちろん、編集者をしていれば、そのような事はあることですから、
その時は、「うう・・・(涙)」と落ち込むけれど、
翌日になれば明るく次へとむかっていく図太さが必要です。
「そう、物忘れの良さも、編集者には必要なのさ・・・」
などとうそぶきながら、
月日は流れ流れて2009年。
突然、その電話はやってきました。
「こんにちは ! 原です ! おぼえてますか ? ?
むかし作りたいとおっしゃっていたような
絵本の作品ができたんですけど、
ブロンズ新社さんでどうかなーと思って。
だいぶ遅くなっちゃったけど」
変わらぬ歯切れのいい、作家の原さんの声。
本当に久しぶりの、うれしいお電話でした。
早速お目にかかって、見せていただいたのが
この『ねこのミルとねずみのチムニー』。
7年ぶりの再会でした。
あまえんぼミルとしっかりもののチムニーが友達になり、
はじめておうちに招待されるところから、物語は始まります。
お花をたずさえてドキドキしながらの訪問。
ところが猫のミルは、小さなねずみのおうちに入れない。
はじめてのご招待を楽しみにしていたミルは、
あんまりがっかりして泣き出します。
「せっかくよんでもらえたのに、中にはいれないよー」
「泣かないで、きっといい方法があるよ」
やさしいチムニーが頭をひねって・・・
そうだ ! と、思いついたのは、
ミルの体をバラバラに招待すること。
ええ! ! 一体どうするの?
・・・というが、物語のあらすじ。
まず、めくりの面白さをいかした
おもしろい構成に目がくぎづけに。
ねずみの家の「中」と「外」の場面をくりかえしながら、
ミルとチムニーの中と外からの
かわいい会話が進んでいきます。
読み聞かせてあげたら、小さな子も楽しめる
楽しいストーリーです。
家の「外」は豊かな自然に囲まれたシーン
ミルの表情が、なんともいえずかわいらしい !
まずは玄関から、おそるおそる前足を入れてお邪魔します。
家の「中」は、楽しいインテリアとチムニーの表情にフォーカス !
前足にそっと触れているチムニーの、
なんとうれしそうなこと。
でもそういえば、小さなころ、
仲良くなったお友達と手をつなぐのって
うれしはずかしの、大切な瞬間だったなぁ。
そんなはじめての友達との間に生まれる
うれしい気持ち、いたわりの心が
この本のテーマ・・・だと思います。
全篇、生き生きとした2匹の表情としぐさが
たまらなくチャーミング。
そして、クラシックな雰囲気の水彩画で描かれた
森の野の花や自然がとても美しい。
植物が大好きな画家の森山さんが
動物たちとのサイズの対比や、季節にまでこだわって
丁寧に描いています。
お話とイラストをいただいてから
さらにディスカッションをしつつ構成を整えて
イラストにも加筆、修正を加え
テキストを何度も見直していただき
最後は色校正で四苦八苦(淡い水彩画は色が出しづらいのです)。
試行錯誤の末、先日・・・
やっとやっと本の形になりました。
早速できあがった本を見に、弊社にお越しくださった
著者の原さんと森山さん。
20ウン年来、コンビをくんで
さまざまにお仕事をされてきたふたり。
一般書や、雑貨・アニメなどのお仕事も手がけてきました。
でも、絵本の仕事は中でも特別。
完成して本当にホッとされたご様子です。
聞けば
作家の原さんは、4匹の猫と3匹の犬たちと、
画家の森山さんは、2匹の猫たちと暮らす
大の動物好きコンビ。
森山さんはハムスターを飼っていらしたこともあるそうで、
猫とねずみの動きや表情の自然な愛らしさに
なるほどと納得させられたのでした。
さてここで・・・
著者のイメージの源である猫たちを
感謝もこめて、特別にちょっぴりご紹介・・・
原さんのおうちの4匹。
森山さんのおうちの2匹。
気ままな2匹はうわさによると
旦那様より大切にされているらしいですよ・・・
実は原さんのおうちには、
さらに3匹の犬たちもいるんです!
そろって何を見ているのかなぁ?
みんな、すっかり家族の一員・・・なんですね。
どのこもそれぞれに個性的で、かわいいです。
さてさて「ミルとチムニー」、
実はすでに第2弾を制作中。
2作目のラフが先日あがったのですが
これがまた、すばらしいできばえ !
ここで、お見せしたいくらいなのですが・・・
それは来春、乞うご期待です。
かわいい2匹が、自然の中をかけまわる
元気いっぱいの作品になりそうです。
シリーズ第1弾『ねこのミルとねずみのチムニー』
子どもから大人まで、楽しんでいただける絵本になっています。
どうぞ2匹と、友達になってあげてください。
編集担当 山縣彩
いつも絵本ナビShopをご愛顧いただき誠にありがとうございます。
当店では、9月の連休の休業日を下記のとおりとさせていただきます。
休業日 : 2009年9月19日(土) ~ 23日(水)(祝)
なお、Webからのご注文につきましては、上記期間中も休まずにお受けいたします。
ただし、配送およびお問い合せにつきましては、下記の通りとさせていただきます。
ご不便をお掛けいたしますが、何卒ご了承いただけますようお願い申し上げます。
●9月の連休中の配送について
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弊社および出版社・メーカーが休業のため、商品確保などの都合上、
通常よりもお届け、およびご案内にお時間がかかります。
・在庫がある商品につきましても、9月18日17:00時以降のご注文につきましては、
9月24日以降、順次発送とさせていただきます。
・「お取り寄せ」「予約」商品およびギフトラッピングご希望の商品は、
お届けまでに通常よりお時間を要する場合がございます。
●9月の連休中のお問い合わせについて
【メールでのお問い合わせ】
・9月18日17時以降から9月23日までにいただいたメールにつきましては、
9月24日以降順次返答させていただきます。
『くっついた』などのあかちゃんえほんシリーズ、『まかせとけ』などのはたらくくるまシリーズ、その他『バスがきました』『おしり』など小さい子が喜んで読む絵本がママ達にも大人気の三浦太郎さん。待望の最新刊の登場です!
大人の女性も思わず手をのばしてしまうほどラブリーな表紙!
一体どんな内容なのでしょう?
三浦太郎さんにお話を伺ってみました。
■ いつか女の子が登場する絵本を・・・。
三浦さんの作品の中でも「のりもの」がモチーフになっている(男の子が喜びそうな)絵本が印象にあるからかもしれませんが、今回は女の子らしさが全開の華やかでとても愛らしい絵本ですね。
うちの子は女の子なので、いつか、女の子が登場する絵本が作りたいと思っていました。
私自身はのりものやデザインが好きなのですが、実は、かわいいものも得意なんです。
■ お花をだれかにあげたいな、そう思う気持ちが素敵。
とにかくお花が咲き乱れている場面の鮮やかさ、美しさに目が釘付けになってしまいます。眺めているだけでも心が浮き立ってくるようですね。
本作でお花をテーマに絵本をつくろうと思われたきっかけを教えていただけますか?
後書きにも書いたのですが、スーパーに行くと娘が必ず、
お母さんにあげるからお花を買ってとせがむのです。
子どもはプレゼントをもらうだけでなく、あげたりするのも大好きです。
時にはそれがちょっと気前がよすぎたりなんかして。
お花を見ていて、綺麗だな、だれかにあげたいな、そう思う子どもの気持ちが、
とても自然で素敵に感じられたことから、お花をテーマで絵本にしようと思ったのです。
その後書きには娘さんとのこんな素敵なエピソードが書かれています!
<<お花をあげたい気持ち>>
娘といっしょによくスーパーへ買物に出かけます。そのスーパーは入り口のところで少しだけお花を売っていて、娘はそれを見ると毎回、「お母さんにあげるから買ってー!」とせがむのです。
子どもは、やっぱりお母さんのことが大好きで、好きという気持ちは何かをあげたい、という気持ちになってあらわれるようです。
生まれて最初にお花をあげたい相手、それはきっとお母さんなのでしょう。子どもにとってお母さんの笑顔は一番の幸せで、とても大切なものなのです。
そんなこともあって、休日にお花をおもいっきり摘むことのできるところへ行こう! ということになり、南房総へ出かけました。澄んだ青空の下、腕いっぱいにお花を摘む娘はとても満足げで、それを見ていた私もなんだか優しい気持ちになりました。
(『おはなをどうぞ』後書きより抜粋)
■ 子どもの目線から見た大人は・・・?
女の子と動物達のやりとりを見ていると、微笑ましかったり、ちょっとハラハラしたり。誰かに喜んでもらうのは嬉しいことだけど・・・。女の子の繊細な心の変化が画面全体から伝わってきます。その表現方法へのこだわりを教えていただけますか?
この本に出てくる動物たちは、子どもを取り巻く大人たちです。
子どもの目線から見ると大人はとても大きく威圧的に見えることでしょう。
そして、大人たちの言葉に喜び、時に不安になったりします。
しかし、最後は子どもにとって一番安心できる場所に帰ることで、
また子どもたちは成長していくことができるのだと思います。
そんな三浦さんの言葉を胸に読み返してみると、自分が子どもだった頃の記憶が重なって蘇ってくるようです。そして最後の場面ではとても幸せな気持ちになれるのです。きっと子ども達も同じように感じているのでしょうね。
■ この小さな優しい物語を演出するのは鮮やかな色彩。
オレンジやピンクなど、色の鮮やかさもとても印象的な本作品。
通常の印刷方法とはちょっと違うとお伺いしましたが・・・。
簡単にいうと版画に近い印刷です。
色同士をできるだけ掛け合わせずに、
そのものズバリの色を印刷しているので発色が良いのです。
このような印刷方法(※)は古い本によく見られます。
色が重なった部分が少し違った色になるのもこの印刷の特徴です。
※特色印刷
作り方の工程の説明については複雑になってしまうそうなので、印刷についてのみ
簡単にわかりやすく教えていただきました。
■ この作品をどんな風に楽しんでもらいたいですか?
子ども達には勿論、大人の方にも喜ばれそうなこの作品。読者にはどんな風に楽しんでもらいたいですか?
子ども向けに作ったのですが、
出来上がると大人でも楽しんでもらえるのではないかと思いました。
出産祝はもちろん、誕生日や母の日にお花と一緒にプレゼントするのにもいいと思いますよ。
■ 三浦さんご自身についてお伺いさせて頂きます。
絵本を制作されていて、一番楽しい時はどんな瞬間ですか?
アイディアが頭の中で浮かぶ瞬間、これが一番楽しくワクワクします。
絵本作家になって良かったなぁと思われた事がございましたら教えて頂けますか?
私はイラストレーター時代に仕事をしていて、分担作業で自分の満足のいく作品を作ることが、
どれだけ難しいかを知りました。
絵本はある程度すべて、自分で決めることができます。それによって大変なことも増えますが、
自分のアイディアをかなり近い状態で、形にできることはとても幸せなことだと感じています。
今後どのような絵本を作ってみたい、作っていきたいと思われていますか?
最近は子どもも大きくなったので少しお話のあるものを作ろうと思っています。
私は子どもと寝る前に絵本を読んでいるので、長いお話は読むのが疲れます。
ほどよい長さのお話。子育てをしているとこれが重要だったりします。
■ 三浦太郎さんからのメッセージです!
最後に、三浦太郎さんに絵本ナビ読者の方へ向けてのメッセージをお願いしました。
絵本は子どもが読むものだけど、大人が決めて買います。
楽しい絵本が好きな親は、子どもに笑顔になってもらいたい。
優しい絵本が好きな親は、子どもに優しくなってもらいたい。
きっと、そう願っています。
たくさん、自分だけの絵本に出会ってください。
素敵な直筆メッセージも描いてくださいました!
絵本とまた違った味わい、ちょっと得した気分になっちゃいますね。
ありがとうございました!
アメリカではロングセラーとして35年も愛され続けているという絵本『アイラのおとまり』。
子どもから大人まで惹きつけてやまないこの作品、一体どんな内容なのでしょう。
待望の新装復刊を記念して、翻訳者のまえざわあきえさんにこの作品の魅力を語って頂きました!
『アイラのおとまり』
バーナード・ウェーバー 作 まえざわあきえ 訳
ひさかたチャイルド/チャイルド本社 刊
▲翻訳家まえざわあきえさん。
※こちらの写真はミュンヘン国際児童書図書館内にある、絵本作家ビネッテ・シュレーダーのコーナーで撮影されたものだそうです。後ろにあるのはビネッテ・シュレーダーがデザインした機械仕掛けの作品だそうで、小さな扉を開くと、オルゴールがなって中の景色や人物が動くそうです!
■ 『アイラのおとまり』の原書との出会いは・・・。
まえざわさんは『アイラのおとまり』の原書に出会われた事が翻訳の道へ進むきっかけになったとお伺いしています。その時のエピソードなどを教えて頂けますか?
アメリカの大学留学中、英米文学科の絵本の授業で『アイラ』に出会いました。教授が持ってきた絵本のなかに『アイラ』を見つけたクラスメートたちから、「読んで!」コールが起きたのです。教授は、「しかたない……」といった感じで、『アイラ』を読み始めました。原書のリズムは、くるくると変わるアイラの気持ちにぴったりでした。学生たちは、笑顔で聞いています。子どものときにアイラを読んだ彼らが、おとなになっても愛してやまない様子を目の当たりにして、絵本の力を改めて感じた瞬間でもありした。
そしてわたしも、この本のとりこになりました。おとまりに誘われて、大喜びしているアイラの無邪気なようす。次の場面から一転、アイラは真剣に悩み始めるのですが、その表情もまたかわいい。
アイラを取り巻く家族にも、魅せられました。お父さん、お母さんの愛情がつたわってきますし、お母さんがソファでゆったり新聞を読み、お父さんはチェロをひいて……なんていう心の余裕にもあこがれました。
五歳年下の弟のいるわたしには、おねえちゃんの気持ちも痛いほどわかります。弟がかわいいからこそ、家で甘やかされている弟に、世間で受けるかもしれないキツイ一撃を教えてやらずにはいられないのです。(最近わたしの弟にそんな話をしたら、「いや、受けたほうにしてみれば、あれは愛情じゃない、ただのいじわるだった」と言われ、とてもショックでした……。)
レジーも、ちょっとずるいけど、いっしょうけんめいで、そこがまたほほえましい……。
最後に安心して本を閉じることができるのも、いいなあと思いました。
授業のあと、アメリカの公立図書館で、『アイラ』を読み聞かせしている場面にも遭遇しました。子どもたちが、身を乗り出すようにして絵本を見ています。アイラがぬいぐるみをつれていかない、というと、みんな、小さな肩をがっくりと落とし、「オー…」とためいき。やっぱりつれていこう、となると、こんどは「そうだよ!」「つれていったほうがいいよ!」と歓声があがります。
アメリカの子どもたちは、ごく小さい時から、親とはべつの部屋で寝ます。わたしのアメリカの友人たちは、親と寝ていた記憶はなくて、もの心ついたときには、ぬいぐるみと寝ていた、と言います。ひとり泣きながら寝た夜のことも、ぬいぐるみだけは、ぜんぶ知っているのです。そんなぬいぐるみと離れて友だちの家で寝るのは、すごく勇気のいることに違いありません。だからアイラの問題も、他人事ではないのです。
こんなにみんなに愛されている絵本なら、日本の子どもにだって読ませてあげたい……。そう思ったのが、『アイラ』の翻訳を思い立つきっかけでした。
子どもの頃まるで自分の事のように共感しながら読んでいた子たちが、大人になっても嬉しそうにお話を聞いている様子。なるほど「絵本の力」というものの原点を感じるエピソードです。きっと日本の子ども達にも愛されるでしょうね。
■ アイラの素直さが伝わるように・・・。
お話自体はちょっと長めなのですが(48ページ)、アイラと一緒の気持ちになって迷ったりドキドキしているうちにあっという間に読める印象を受けました。小さな子でも楽しめそう!翻訳される時に意識された事はありますか?
アイラの素直さが伝わるように……と思いながら訳しました。それから、英語で読んでもらったときの軽やかなリズムも、忘れないように――。重たいリズムでアイラが悩んでしまったら、聞いているほうも、しんどいですから……。
日本でも、いろいろな方が読み聞かせしているのを聞いたことがあります。会話が多いせいか、読む人によっていろいろなアイラやレジーが登場して、とても楽しいです。みなさんにも、ぜひ、声に出して読んでいただけたらと思います。
■ 作者のバーナード・ウェーバーさんは家族をとても大切にされている方。
作者のバーナード・ウェーバーさんはどんな方なのでしょうか?
ウェーバーさんは、グラフィック・デザイナーをしていたとき、彼の作品集を見たアート・ディレクターたちから、児童書のイラストも描いてみてはどうかと勧められたそうです。ちょうどそのころ、ウェーバーさんは自分の三人の子どもたちに絵本の読み聞かせをするようになり、絵本の魅力にのめりこんでいきました。子どもをつれて図書館へ行くと、夢中になって絵本をあさるので、子どもから、「パパはおとなの本棚に行って」と言われたとか。それから絵本を作るようになったそうです。
「自分の作品は、家族の愛情や支援があってこそできたもの」と、ウェーバーさんは家族をとても大切にしています。その気持ちが、また、絵本に反映されていると思います。
▲バーナード・ウェーバーさん。
(作品やエピソードから受ける印象どおりの愛らしさ!!嬉しくなっちゃいますね。)
■ 『アイラのおとまり』のみどころを教えてください!
アイラにふりかかった問題や、家族とのやりとりのようすは、年齢や文化を超えて共感できるものだと思います。だれでも子どものころには、おとなから見ればささいなことで不安になった経験があるのではないでしょうか。
でもよく考えてみると、おとなだって、他人から見れば取るに足らないことで悩んだりするし、心に不安があれば、なかなか決断を下せない・・・。「これがあると安心」「これがないと不安」というものだってあるはずです。アイラは、だれの心の中にもいるのだと思うのです。この本が長く愛される秘密のひとつは、このあたりにもあるのかもしれません。
また、ウェーバーさんは、絵本の形をうまく活かして、言葉では語りつくせない感情の機微を伝えたり、読者を物語の世界に引き込んだりします。
たとえば『アイラ』で、真っ白なページに、「だけど おねえちゃんが いうんだ」とか、「そしたら おねえちゃんは いうんだ」とか、でてくると、たいてい次のページのおねえちゃんのセリフはいじわるです。こんなふうに決まったパターンを繰り返すと、小さな子どもでも、次にどんなことが待ち受けているのか予測できます。予測できると、子どもたちはますます絵本に引き込まれていきます。
以前、3歳の男の子に『アイラ』を読んであげたことがあります。物語中盤、真っ白なページに書かれた「でも おねえちゃんは いうんだ」という一文を読んだら、その子は次のページへ進もうとするわたしの手をおさえこんでいいました。
「ねえ、おねえちゃんも、『つれてくのがいい』っていって!」
おねえちゃんのいじわるは、もう、聞きたくない、アイラには、ぬいぐるみを連れて行ってほしい――と、いうわけです。この絵本を初めて読む3歳の子でも、展開を予測していたのです。この子の頭の中には、自分だけのアイラの世界が広がっていたに違いありません。
ウェーバーさん自身、絵本を余すことなく楽しんで作っているなあと思うのです。
■ いつか自分でも、アイラのようなかわいいお話を・・・。
まえざわさん御自身についてお伺いします。こんな絵本を翻訳されていきたい、というのがありましたら教えて頂けますか?
おなかを抱えて笑ってしまうような話でも、涙が止まらない話でも……何度でも読みたくなるような絵本、何かの時に取り出して、また読んでみようと思うような絵本を訳せたら、幸せです。いつか自分でも、アイラのようなかわいいお話を作ってみたいです。
▲こんな可愛い手書きのサインを頂きました!!
まえざわさんのつくったお話、楽しみですね。ありがとうございました。
※「オリジナルこびと」大募集に関する情報を随時更新していきます!
■「オリジナルこびと」大募集!!
あなたの考えた「新種こびと」をなばたとしたか先生に教えてあげてくださいね。
詳しい応募要項はこちらからどうぞ>>>
■最新「オリジナルこびと」のご紹介です!
早速素敵な「オリジナルこびと」が届いており、なばたとしたかさんも大喜びです。
ルナ わんこ♪♪さん、takozooさん、ありがとうございます。
「新刊に使えたらいいなぁ・・・」なんてつぶやきももらしておりましたよ!
それでは、なばた先生の鋭いツッコミコメントと共にご紹介させて頂きます。
★ヒゲクビクローバコビト
□なまえ ヒゲクビクローバコビト
□コビト綱 大林森(おおばやしもり)目 草花(くさばな)科 ヒゲクローバ属
□体長 15cm (トウチンを含む)
□せいそく地 森や林、ジャングル、クローバー畑、草むら、じめじめした所
□食べもの カやハエなどの小さな虫や、クローバーや草
□特ちょう ヒゲは、草や花にまぎれる時にやくだつ。
かおが緑っぽい。
クローバーにとくにたトウチンは、てきからのがれるときにつかう。
体にかいてあるやつもそう。
【考えたひと】
ルナ わんこ♪♪ さん 8さい
【なばたとしたか先生より】
四葉のクローバーを見つけてラッキー!と思ったらコイツだったって事 もあるかも!?
クローバーを四葉にしているのはコイツの仕業にすると面白いかも!
ホトケアカバネと仲良かったりして(笑
★ネトゲキチコビト
□なまえ ネトゲキチコビト
□コビト綱 不吉目 触頭科 ゲーム属
□体長 3~4cm (トウチンは含まず)
□せいそく地 人の心の中
□食べもの 不明
□特ちょう ゲーム好きな人に寄生し
ゲームが止められない体にする
恐ろしいコビトである。
【考えたひと】
takozooさん 8さい
【なばたとしたか先生より】
おーコワイ!最近、大人も子供もコイツに取り憑かれてるんじゃ・・・。
パソコンの裏やゲーム機の下に隠れてても面白いね!
いい所でリセット押したりとかしたりして(笑
うーん、何とも対照的なコビト2人!
同じ8歳のお友達が考えてくれました。想像力はやっぱり子どもにはかなわない!?
いやいや、大人もがんばってくださいね。
まだまだお待ちしております。(絵本ナビ編集部より)
鈴木のりたけさんの「続・しごとば」制作日記は移行しました。
⇒「続・しごとば」制作日記 その6