小さなもみの木は大きくなった木に憧れ、早く大きくなりたいと願いました。
大きくなって切り倒された木が船のマストになって、世界の海を巡っていることを想像して、夢を膨らませたのです。
それが大きな勘違いだということは、お日さまや風でなくてもわかります。
今度はもみの木はクリスマスツリーになることを夢見ました。
着飾ってクリスマスを祝う喜びを夢見たのです。
確かにクリスマスツリーはクリスマスの主人公でしょう。
でも、その後どうなるかまでは考えられませんでした。
森にいた時が一番良かった、若い頃が一番良かったなんて、ほろ苦いお話です。
大人として読んだとき、自分の人生を重ね合わせてしまいます。
一度は枯れていくもみの木です。
幸せだったという時間を噛みしめるのも大切な気がしました。